トランプ支持者の陰謀論の標的になるテイラー・スウィフト トランプ氏から牽制も

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 東京ドームでの4日連続のコンサートで無事大成功を収め、米プロフットボールNFLカンザスシティ・チーフスに所属する恋人、トラビス・ケルシー選手が出場するスーパーボウル観戦のためにアメリカに帰国したテイラー・スウィフト。昨年はアルバムとコンサートツアーの商業的成功でビリオネアのステータスを獲得し、2024年のグラミー賞でも「最優秀アルバム賞」と「最優秀ポップ・ボーカル・アルバム賞」の2部門を受賞。新アルバムの発売も公表するなど、人気も実生活も絶好調だ。

 そんな人気絶頂のテイラーが、11月のアメリカ大統領選をめぐる陰謀論の標的になった。普段から民主党支持を公言し、2020年にはジョー・バイデン現大統領の支持を公表したテイラーに関して、「MAGA(トランプ氏支持者の通称)」による陰謀論が独り歩きし、NFLも巻き込む騒動に発展しているのである。

◆MAGAにスーパーボウル陰謀論が拡散
 米公共ラジオ(NPR)によると、トランプ支持者のポッドキャスターが、チーフスのカンファレンス・チャンピオンシップゲームついて「NFLは民主党のプロパガンダを広めるためにチーフスの勝利を不正操作した」と主張。また、「スーパーボウルのハーフタイムショーでテイラー・スウィフトが出てきて、ジョー・バイデン支持を表明する」とも発言し、その試合でチーフスが勝利したことで、MAGAの間で「テイラー・スウィフトとNFL陰謀論」が拡散していったという。

 また、2024年の大統領選で共和党からの指名を目指したものの、人気低迷で撤退したビベック・ラマスワミ氏も当時、「来月のスーパーボウルでは誰が勝つのだろうか。そして文化的にでっち上げされた人工的カップルから、この秋に重要な大統領支持が公表されるのだろうか」と発言。そしてトランプ支持者の多くはこの陰謀論に共鳴し、テイラーを敵視してスーパーボウルでチーフスと対戦したサンフランシスコ・フォーティナイナーズの応援にまわったのである。

 さて、観戦席でブレイク・ライブリーらほかのセレブとともに恋人を応援するテイラー・スウィフトに注目が集まった11日のスーパーボウルでは、チーフスが延長の末に25対22で勝利を収める結果となった。そして、ゲーム中に大統領支持の発表などの政治的発言はなかった。

Text by 川島 実佳