女子は男子の4分の1、サッカーW杯の報酬格差 CNN調査

W杯フランス大会で優勝したアメリカチーム(2019年7月7日)|Francisco Seco / AP Photo

◆国ごとにも異なる状況
 プロサッカー選手の国際的な労働組合である国際プロサッカー選手会(Fédération Internationale des Associations de Footballeurs Professionnels:FIFPRO)の調査報告書によると、2017年時点の調査では、サッカー選手は月給600ドルにも満たない額しか受け取っておらず、賃金がゼロの選手もいた。W杯に参加する選手の多くがプロ選手というわけではなく、ほかの仕事をしながら生計を立てているという現状もある。

 報酬を単純に平等にすれば公平であるという話でもない。たとえば、カナダでは女子チームの方が結果を出しており、2021年のオリンピックでは金メダルを獲得した。一方、男子チームは2022年W杯に出場したものの予選で敗退した。2021年の女子チームへの投資額は510万ドルであったのに対し、2022年の男子チームへの投資額は1950万ドルであった。

 一方、アメリカに関しては1995年以降の働きかけで、国内の状況は改善された。2019年3月、サッカーアメリカ女子代表(USWNT)は、アメリカサッカー連盟に対してジェンダー差別を訴え訴訟を起こした。2020年5月、連邦裁判官はUSWNTの同一労働同一賃金(equal pay)の訴えを退けた。それに対し、USWNTは控訴。2022年2月にはUSWNTと連盟は、選手たちに2400万ドルの和解金を支払い、すべての親善試合とトーナメントで女子チームに男子チームと同等の給与を保証することで決着した。その後、2022年5月、連盟とUSWNTは、同一労働同一賃金で合意に至った。

 今後も改善の取り組みは続くと予測されるが、世界的な格差の課題は根強い。当然、これはW杯の選手に限ったことではなく、ほかのさまざまな業種に関しても同様だ。しかしながらW杯という世界的に注目が集まるイベントにおける今後の格差是正が、ほかへと波及する未来に期待したい。

Text by MAKI NAKATA