『バービー』と『オッペンハイマー』に恐ろしい共通点? 同日公開で大人気の2作品

Warner Bros Pictures/Universal Pictures via AP

 バービーの実写版映画であるライブアクション作品『バービー』と、原爆の父と呼ばれるロバート・オッペンハイマーを主題にしたスリラー作品の同時公開。アメリカでは2作品同時に観るというセット券が販売され、「バーベンハイマー」という造語もインターネットで流行中だ。一方、対照的な作風の2作品に歴史的な共通点を指摘する声もある。

◆「バーベンハイマー」という現象
 バービー』は、実力ある若手の映画監督として知られるグレタ・ガーウィグ(Greta Gerwig)が監督を務め、マーゴット・ロビー(Margot Robbie)が製作・主演する作品。『オッペンハイマー』は、『ダークナイト』3部作や『インターステラー』などの人気作品を手がけたクリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)が監督・脚本を務めた伝記スリラー映画で、『バッドマン・ビギンズ』などに出演したアイルランド出身の個性派俳優キリアン・マーフィー(Cillian Murphy)が、オッペンハイマーを演じた。オッペンハイマーに関しては、過去に何度も作品の題材になってきた歴史があるが、本作品はオッペンハイマーという人物をより包括的に描いたものとして注目されている。

 バービーの定番色であるピンクであふれたフィクションの世界観とライブアクションというエンターテインメント作品と、原爆開発と実験を率いた実在の人物、オッペンハイマーを描いた恐ろしさにあふれた歴史作品というまったく異なるジャンルの2作品だが、注目の2作品がアメリカにて同時公開されるということで、2作品が同じセットで語られるという現象が起きている。インターネット上では、2つの作品のタイトルを合わせた造語「バーベンハイマー」という言葉まで生まれ、ウィキペディアページまでできている。ネット上では2作品の対立を、民主党(青)と共和党(赤)の選挙戦報道のようにアメリカの各州を色分けして勢力図で表すなどといったミームも展開されている。また、大手映画館チェーンのAMCは、2作品を2本立てで見るというチケットを販売。同日鑑賞チケットが2万枚売れたとのことだ。

Text by MAKI NAKATA