「スラムダンク」「ポケモン」に見る韓国人の日本アニメへの熱い思い「一緒に育った」

 今、韓国で日本のアニメが熱い注目を集めている。そのなかでも特に話題を呼んでいるのが、バスケットボール漫画「スラムダンク」を新たにアニメ映画化した『THE FIRST SLAM DUNK』である。1月初旬に公開され、初登場でトップ3入りを果たし、口コミでも好評を得ていた。そして、1月30日までの累計観客動員数は195万8764人を記録、興行ランキングも1位をキープし、まさに空前の大ブームとなっている。

 2019年、当時の大統領であった文在寅(ムン・ジェイン)氏の反日政策「NO JAPAN」によって日韓関係は史上最悪とも言われる危機的な状況に陥った。一時は日本のことを話題にしたり、日本好きを公言することもはばかられるような雰囲気もあったなか、政権交代などが転機となり、人々はユニクロやアサヒビールの日本製品を嗜み、日本行きの飛行機も連日満員と現在ではあの頃のことがウソであったかのようだ。そして、今回の「スラムダンク」の映画のヒットが改めて韓国の人々の日本に対する思いを示したとも言える。

◆30代、40代が熱中する青春の思い出
 とどまるところを知らない「スラムダンク」人気であるが、これを支えているのが、30~40代の世代であるということにも注目が集まっている。筆者も映画館で鑑賞をしたものの、一人で訪れている者、カップルで訪れている者、子供を連れてやって来ている父親など、やはり30~40代とおぼしき観客が多かった印象がある。

 また、ストーリーについても、上映時間の2時間があっという間に過ぎ、感動や爽やかな余韻が残る素晴らしい作品であったと思うとともに、再度観たいという気持ちにもさせられた。

 日本で「スラムダンク」が連載されていた1990年代当時、韓国でもやはり漫画が翻訳されていたのだ。この時ちょうど中学生や高校生であった10代が今30~40代となり、あの青春時代に熱中した作品に再び歳月を超えて再会できたことへの感動と歓喜が大きかったものと言える。

 2021年に韓国でも公開されヒットした『劇場版『鬼滅の刃』無限列車編』は218万人の観客動員数であったが、「スラムダンク」はさらにどこまで記録を伸ばすか楽しみに見守りたいところである。

Text by 原 美和子