「フェルメール作ではない」米美術館が『フルートを持つ女』を調査し結論

Everett Collection / Shutterstock.com

◆孤高の名画家ではなかった 弟子による作品か?
 ナショナル・ギャラリーの北ヨーロッパ絵画部門長、マージョリー・ウィーズマン氏は、フェルメールの画材や作業工程を理解しつつも技術を習得しきれなかった人物が、『フルートを持つ女』を描いたのではないかとアート・ニュースペーパーに話している。

 実はこれまでフェルメールは孤高の天才とされ、たった一人でわずか35点ほどの作品を制作したと考えられてきた。しかし、複数の学問分野にまたがる調査で、少なくとも晩年にはフェルメールがオランダのデルフトで工房を運営していた可能性が高いとされた。

 同館は現在、『フルートを持つ女』は見習いやアシスタントによって描かれたと見ており、長年の通説を覆して、実はフェルメールが次世代の芸術家たちの指導者もしくは助言者であったことを示唆していると述べている。作品は贋作ではなく、20世紀になって誤ってフェルメール作とされたと考えるのが妥当だとアート・ニュースペーパーは指摘している。

◆真相は実際に見て判断 フェルメール展開催中
 『フルートを持つ女』の作者については、フェルメールの娘の作品という見方や、他者との共作であるという意見などもあるという。

 ナショナル・ギャラリーでは現在『フェルメールの秘密展』を開催中で、フェルメールのコレクションと『フルートを持つ女』を展示するとともに、再鑑定に至った最新技術による画像処理の舞台裏を紹介している。展示は来年1月8日まで行われる予定で、美術愛好家にとっては自分の目で判断できるチャンスだ。

【関連記事】
レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画や肖像画、世界で再び脚光 没後500年
ウクライナの文化遺産を守る ユネスコ、現地が奔走
アートの現在:先端技術で見るフェルメール

Text by 山川 真智子