マスクなし選手続々 五輪の着用ルール、選手も混乱
◆最も感動的な場、表彰台で違反続出
ところが、競技が始まると次々とマスクなしの選手の姿が目撃されるようになった。メダルの授与式では、競技者はほかの選手との接触を控え、表彰台での集合写真撮影を避けるよう指示されていた。しかし、女子4×100メートル自由形リレーの表彰台に立ったオーストラリア、カナダ、アメリカの12人の選手は、全員マスクなしでハグし合っていた。また、男子400メートル個人メドレーのメダリスト3名も授与式でマスクを外しており、1位のチェイス・カリシュと2位のジェイ・リターランドの2人のアメリカ人選手が抱き合っている様子も映像が捉えていた。(スポーツサイト『インサイド・ザ・ゲームズ』)
こういった状況に対し、IOCのマーク・アダムス広報部長は、どのような立場であろうと、ルールは守ってもらいたいと述べ、選手のエキサイトした気持ちはわかるが、ルールを厳しくしなければならないとした。開会式でノーマスクの選手や役員がいたことに続き2回目の警告になるとし、大会の「プレーブック」記載のルールに反するはなはだしい違反があった場合は、措置を講じると注意した。(同上)
◆IOCのポーズなのか? 一貫性、合理性なきルール
しかし、マスクなしの指摘を受けた選手のほうは戸惑っていた。カリシュ選手は、授与式の際に、前方にいた人が「マスクをしないで」という表示を出していたと説明。自分は適切なルールが何だったのかを示すことはできないが、その人が「マスクを着ける」「マスクを外す」という表示を持っていたと語った。その数時間後、カナダの銀メダリストも「ある時点で、写真撮影のときはマスクを外せ」と言われたことを認めている。さらに水泳やダイビングの選手はプールの周りを行進し、写真撮影のため立ち止まって仲間とノーマスクで肩を組んだりしていた。試合後のインタビューでも、マスクを外す選手もおり、ルールに一貫性がなかったとヤフー・スポーツは指摘している。
ルールの不明瞭さを認識したのか、IOCは距離を十分に保った表彰台の上で最大30秒のノーマスクは撮影のため許可するという新方針を発表した。しかし、そもそもマスクなしで選手が抱き合っても彼らの近くには誰もいないのに、一律ノーマスク禁止という規則は正しいのかとヤフー・スポーツは反論する。マスク着用は「強いメッセージを送る」として、IOCは適切な行動の模範を見せようとしているようだが、行動の模範となるものは合理的でなければならないと同メディアは主張。今大会では、ポーズだけの無意味な感染対策が行われているとし、メダル授与式でのマスク着用もその一つではないかと述べた。
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