東京五輪、残る暑さ問題 英団体が報告書「火の五輪」発表

Kiichiro Sato / AP Photo

 パンデミックにより、東京五輪は開催の是非、観客の有無などで揉めに揉めたが、結局1年延期でほぼ無観客開催と決まった。しかしコロナ前に最も懸念されていたのは、実は東京の夏の暑さだ。大会直前のいまも安全な対策が取られているとは言い難く、海外の団体が警告を発している。

◆まさに火の中でのイベント 安心安全ではない
 英国持続可能なスポーツ振興協会(BASIS)は5月、暑さが東京五輪に及ぼす影響について調査した報告書「Rings of Fire(火の五輪)」を発表。気候変動によって引き起こされる高レベルの暑さと湿度は、競技者の大きな脅威になるとし、主催者がこの警告を真剣に受け止めなければ、競技者が熱中症で倒れるなどの深刻なリスクに直面するとしている。

 報告書は、2021年の東京の年間平均気温が1900年から2.86度上昇しており、世界平均の3倍以上のスピードだと指摘。日中の最高気温が35度を超えることは1990年代以降ますます増えているとしており、マラソンや自転車競技は涼しい地域に移されたが、ほかの競技も開催前の安全性チェックに直面する可能性もあるとしている。

Text by 山川 真智子