「五輪無観客」の衝撃、海外にも 米テレビ局は演出に苦慮か

Shuji Kajiyama / AP Photo

 政府は8日、東京都に4回目の新型コロナウイルス緊急事態宣言を発出すると表明した。これを踏まえ東京オリンピックの大会組織委員会、政府、IOCなどが5者会談を行い、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県での競技は、いずれも無観客で開催することを決定した。開幕を2週間後に控えてのこの変更により、さまざまなところに影響が及んでいる。

◆選挙控え世論を意識 菅首相、苦渋の決断
 ロイターによれば、ワールドアスレティックス、国際ホッケー連盟、国際水泳連盟など、世界のスポーツ団体の多くは無観客開催の決定に新型コロナの感染を抑えるためには仕方がないという見解を示しつつ、失望も表明した。

 東京の感染状況は他国に比べれば軽く、厳しいロックダウンも行われていないため、カナダのオリンピック委員会のように無観客を疑問視する声もある(ロイター)。ブルームバーグは、最近の世論調査では35%が無観客を、34%がいまでも中止を希望していたと指摘。五輪からの副次的な影響が9月の選挙と菅首相の進退に影響するとし、これが無観客の決定につながったと見ている。ニューヨーク・タイムズ紙は、ワクチン接種の開始がおくれたことで、感染を減らしきれないことも影響したと見ている。

Text by 山川 真智子