辛口評論家フラン・レボウィッツが、いま注目される理由

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◆フラン・レボウィッツの魅力
 ニュージャージー出身のレボウィッツは1969年にニューヨーク市に移住。同年にアンディ・ウォーホルが創刊した雑誌『Interview』のコラムニストとしての活動を開始した。その後、著名なアーティストや俳優らが集ったナイトクラブ、Studio 54に頻繁に出入りする人物の一人として、ニューヨーク文化界における親交を深めるとともに、名声を築いた。「パーティーが大好き」という彼女。ドキュメンタリーを手がけたスコセッシとも、なんらかのパーティーで知り合ったはずだと語る。

 レボウィッツは『Interview』のほかに、女性誌『Mademoiselle』にも執筆。そして、この2誌のエッセイを中心にした内容で、1978年に『嫌いなものは嫌い―メトロポリタン・ライフ入門(原題:Metropolitan Life)』、1981年に『どうでも良くないどうでもいいこと(原題:Social Studies)』を出版。この2冊が彼女の主な作品で、1994年に『チャスとリサ、台所でパンダに会う(原題:Mr. Chas and Lisa Sue Meet the Pandas)』と題した子供向けの本を出版して以降は、テレビ出演や講演活動に重きを置くようになった。1997年、レボウィッツは、コントリビューティング・エディターとして『Vanity Fair』に参画している。

 レボウィッツが、エンターテインメント界で長く活躍している理由の一つが、彼女が持つ独自のスタイルだ。彼女は「他人と比べるという習慣がない」と言い切る(NPR)。その性格は子供の時から変わらず、他人のことを羨ましいと思うことは基本的にないという。彼女の服装にも独自のスタイルがある。白かブルーのワイシャツにゴールドのカフリンク、ダークカラーのメンズブレザー、ブルー・ジーンズに、先が丸くなった特注のカウボーイ・ブーツ、べっ甲の丸眼鏡とショートボブが、彼女の定番スタイルである。彼女のファッションは不変的だが、レボウィッツはファッションへの関心は高く、かつてはファッションウィークの常連でもあった(AnOther)。

 映画監督のスパイク・リーや、作家のトニ・モリスンらとも親交を深めてきたレボウィッツ。彼女は、モリスンは、必ずしもすべてとは言わないが、自分がアドバイスを聞き入れる唯一の人物であったと語っている。また親友であったモリスンのことを、頭がいいだけでなく、稀に寛大であったと振り返った(The Cut)。パソコンも、携帯電話も、インターネットもやっていない彼女だが、ソーシャルメディアも含めた社会の最新動向にも明るい(とくに強いポリシーがあるわけではないが、たまたまテクノロジーを導入する機会を逸したという)。彼女の洞察力、観察力に加え、リアルな「ソーシャルネットワーク」こそが、彼女の情報源と意見の源泉になっているようだ。現在70歳のレボウィッツだが、頭の回転は速く、対話の回答はしばしばウィットに富み、それが笑いを呼び、コメディ的な魅力を作り出している。

 レボウィッツは、独自の視点と辛口な意見を持ち、独自のスタイルを持っている。あらゆる議題に関して辛口な意見を言いつつも、傲慢さや嫌味な感じがなく、不思議な魅力を持っている。時代の変化を理解しつつも、時代の風潮には流されない彼女は、若者にも憧れられる存在である。レズビアンである彼女は、若い世代の人々にフェミニストや活動家として功績を感謝されることもあるというが、彼女は活動家であった覚えはないという。SNSと携帯電話の世界で、#FOMO(fear of missing out、取り残されることへの不安)を感じている状況だからこそ、レボウィッツが持つ揺るぎない視点と意見が、ある意味「活動家」的な魅力と映り、若い世代が憧れと関心を抱いているのかもしれない。

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Text by MAKI NAKATA

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