全然日本じゃなかった……英料理番組の「日本テーマ菓子」に総ツッコミ

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◆挑戦者も審査員も適当? 日本に対する薄い認識
 インデペンデント紙は、挑戦者のなかに日本のデザートでよく使われるゴマ、小豆、桜やピーナッツを使った人はおらず、抹茶やゆずなどがわずかに使われたのみだったと述べる。餅やどら焼き、メロンパンや生クリーム入りロールケーキ、スフレパンケーキなど、日本人や日本通に人気のお菓子を作った人は皆無。典型的かわいいの「ハローキティ」でさえも出てこなかったとし、挑戦者の日本理解が不十分だったことを示唆している。

 挑戦者だけでなく番組の審査員の一人、ポール・ハリウッド氏に至っては、実際に別の番組撮影で日本に行くまで、日本にはご飯と麺類しかないと思っていたそうだ。さらにソーシャルメディア上では、番組中で使われる日本語の発音がほとんど間違っていたというコメントもあった。

◆無知なのか差別なのか? アジアのステレオタイプ
 さて、今回の番組には日本人からも憤りの声が聞こえた。イギリスで活躍する日本人女優、森尚子さんもその一人だ。森さんはツイッターで、「もはや気持ちは『かわいい』じゃなくて、『こわい』です」と述べ、まともなリサーチやファクトチェックが番組を作る前に行われるべきだとした。さらに今回の件では、日本人や日本文化だけでなく、中国人や日中の違いがわかる視聴者への侮辱になったのではないかとしている。

 インデペンデント紙は、饅頭の課題が終わるころには、なぜかテーマがアジア全般になり、果ては西洋の具材まで投入される始末で、番組を見ていたアジア人には残念だったと述べる。番組の問題は、アジア料理には互換性があると思っているように見えることだとする。そしてそれがすべてのアジア人は単に一つの均一なグループなのだから、アジア的なものはすべて同じだという人種差別的ステレオタイプを恒久化させることになると主張している。

Text by 山川 真智子