白夜の祭に隠された狂気に戦慄する……映画『ミッドサマー』

♦︎引き算の構成でスリル高まる
 本作は、静かに忍び寄るような恐怖感が本作の最大の特徴だ。英テレグラフ紙(2019年7月9日)は「ほとんどのホラー監督ならドルビーの重低音を次々に浴びせるジャンプ・スケア(突然の大音量や画面転換などで驚かせる、しばしば安っぽいとみなされる演出)を効かせるところだが、(本作監督の)アスターは逆を行く。遠くで脇役のキャラクターが上げている惨めな叫び声を聴こうと、観客は耳をそば立てることになる」と述べている。

 米ニューヨーク・ポスト紙(2019年7月3日)は「『ミッドサマー』は恐怖感を欠いているわけではないが、ちょうど(本編に登場する)スウェーデンの祝祭で振る舞われた幻覚作用のあるお茶がもたらすバッド・トリップのように、じわりじわりと高まってゆく。また、ときおりのユーモアのおかげでメリハリが効いている」と述べている。恐怖映画に免疫のない人々でも、徐々に引き込まれるような作りだ。

♦︎向こう見ずな旅路
 アスター監督は、2018年のホラー映画『へレディタリー/継承』で長編デビューを飾っている。まだ長編2作目に過ぎないが、早くもその実力が証明されたとの評価を本作で確立した。AP(2019年6月28日)は「恐怖のファミリー・ドラマである『へレディタリー/継承』に続き、アスターの長編としてはまだ2作目だが、その才能と狂った気迫がまぐれ当たりでなかったのは明らかだ」と述べている。

 米LAウィークリー誌(2019年7月1日)は「アスターはとくにホラーにかけては最も独創的な映画監督の一人であり、旧来のお約束を取り払い、実存主義の病と不安へと突き進む向こう見ずな旅を選択した」と述べ、精神的な恐怖にフォーカスした監督の判断を大いに評価している。

 従来のホラー映画とは一線を画す『ミッドサマー』は、2月21日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか、全国ロードショーされる。

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『ミッドサマー』
提供:ファントム・フィルム/TCエンタテインメント
配給:ファントム・フィルム
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Text by 青葉やまと

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