「完璧でなくていい」こんまり流、子供たちが片づけ上手になる方法

Photo by Andy Kropa / Invision / AP

 片づけコンサルタントの近藤麻理恵氏(通称こんまり)でさえ、自身が提唱する片づけ術を常に完璧にこなすことはできない。

「もちろん、とても立て込んでいるときには、自分が決めた基準ややり方を少し手放すことが必要です。これは至って当然のことだと思います」と、整理整頓の教祖的存在であり、ネットフリックスのリアリティ番組の人気者、そして2児の母親でもある近藤氏はAP通信に対して語る。

 スリッパをフロアの真ん中に放置することもある、と穏やかに語る近藤氏は、具体的にどのような事を他に断念するのかについては口を閉ざした。ただし、確かなことは一つある。重要なのは、多忙な日々のなかでいかに片づけを行うかということだ。

                                                                                                                 

 近藤氏は、ものを「ときめく」かどうかで判断し処分することを世界中に提言し、絶大な影響力を築いてきた。そして、自身初の絵本「キキとジャックス なかよしがずっとつづく かたづけのまほう」を出版することで、その影響力はさらに広がった。絵は、共同執筆者であるサリナ・ユーン氏が担当している。

 仕事場が散らかっている大人に向けて、組織心理学者であるスコット・ソネンシェイン氏との共著「Joy at Work: Organizing Your Professional life (オフィスにときめきを 職場環境を整理整頓する方法)」が2020年4月に発売される予定だ。デスク周りやスケジュール、受信メールを整理するメソッドを説く。

 近藤氏とネットフリックスによる配信番組「KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~」シーズン1は2019年、エミー賞に2部門でノミネートされたものの受賞には至らなかった。シーズン2については検討中であるものの、ライフスタイルにまつわる近藤氏によるアドバイスは、より多面的なテーマへと徐々に変わってきた。もはやときめきの感じられない人間関係を知るタイミングや、子供のために完璧なお弁当を作る方法など多岐にわたる。

 2019年11月中には公式サイト『Konmari.com』で、お香や炊飯器など、近藤氏が家庭で愛用しているおすすめの「ときめく」ものを販売開始する予定だ。2018年には、認定「こんまり流片づけコンサルタント」を30ヶ国以上における約300名へと増員し、ネットワークを拡大した。

 ネットフリックスの番組をきっかけに、近藤氏は夫と、3歳と4歳になる娘とともにロサンゼルスへ移住した。近藤氏にとってアメリカでの生活は、サンフランシスコに次いで2度目となる。ロン・アキヤマ&ウェンディ夫妻をはじめ、番組内で近藤氏に片づけ術の教えを受けた家族はいずれもロサンゼルス在住である。

 近藤氏によると、山積みになった衣類や増えすぎたクリスマスの装飾アイテム、野球カード何千枚分もの箱など、シーズン全8話を通して、子供が巣立ったあとの家庭には最大の難題が残されていたという。

「ものが非常にたくさんありました。日本で散らかった家の片づけをたくさんしてきましたが、日本の家は比較的小さいです。このアメリカの規模では、とくにガレージに置かれているものの量には、かなりの衝撃を受けました」と、近藤氏は最近行われたインタビューで、通訳を介して述べている。

 現在、近藤氏は絵本の宣伝活動を行っている。物語には、収集癖のあるリスのキキと、整理整頓好きで几帳面なフクロウのジャックスが登場する。この愛らしい絵本は、近藤氏を世界的ブレイクに導いたベストセラー「人生がときめく片づけの魔法」から展開されたものである。

 家でいつも探し物をしているキキは、その性格のせいでジャックスとなかなか仲良くできない。ジャックスはキキに友情を記したスクラップブックを贈り、ジャックスの家を一緒に片づけようと手伝いをする。山積みのなかから、寄付するもの、リサイクルするもの、捨てるものに分け、こんまり流衣服のたたみ方と、立てて引き出しに収納する方法を実践している。

「母親になって、子供たちに片づけを教えたいと思いました。もっと楽しめる方法で教えるにはどうすればいいのだろう、と考えていました。絵本はとても良いアイデアだと思えたのです」と、35歳の近藤氏は話す。

 近藤氏は、登場するキャラクターについてヨーン氏にアイデアを与えた。娘たちのお気に入りのおもちゃである、花をモチーフにしたピンク色のウクレレとぬいぐるみのロバだ。

 整理整頓の行き届いた家庭で育っていれば、こんまり流片づけ術により馴染みやすいのだろうか。

「もちろん、家をすっきりと片づけることは大切ですが、完全である必要も、完璧に整理されている必要もありません。それよりも大切なことは、片づけている姿勢を両親が子供たちに見せることです」と、近藤氏は話す。

 近藤氏が初めて片づけコンサルタント業界での成功を心に決めたとき、子供はまだいなかった。子供たちがどれほど激しく散らかすか、親たちは片づかないことにどれほどイライラさせられているか、現実的な状況をまったく知らない近藤氏をとがめた親たちもいた。

「子供ができてから、片づけに関する私の基準は明らかに変わったと思います。以前は完璧に整った家を理想としていましたが、当然ながら子供たちがいると散らかりがちですし、時間にも限りがあります。完璧を求めると、すべての母親が実感している通り、くたくたに疲れてしまうことになります。私は、以前よりも自分自身に対して寛容的になったと感じています」と、近藤氏は述べる。

Translated by Mana Ishizuki
By LEANNE ITALIE Associated Press

Text by AP