2018年の英単語は「Toxic」「Single-use」 英国の辞典が選んだ言葉たち

weedezign / Shutterstock.com

 英国の大手「英英辞典」であるコリンズとオックスフォードがそれぞれ、「今年の単語」を発表した。そこから、2018年がどんな1年だったかを振り返ってみよう。

◆プラスチック汚染の話題を反映
 英国の「英英辞典」のコリンズはこのほど、「今年の単語」として候補に上がっていた10の単語と、最終的に2018年の単語に決まった1つを発表した。今年の単語には「Single-use」が決定したという。「Single-use」とは、「1度しか使えない」つまり「使い捨て」という意味の言葉で、最近ではプラスチック製品によく使われる。例えば、スーパーマーケットのプラスチック製買い物袋(日本ではビニール袋と呼ばれているもの)やストロー、飲み物を入れるペットボトルなどだ。

 プラスチックによる環境汚染は長年叫ばれてきたが、今年は欧米の大手スーパーマーケット・チェーンが使い捨ての買い物袋を有料化したり、大手コーヒー・チェーンがストローを廃止したりと「脱プラスチック」の動きが活発になった。「Single-use」という言葉には、そんな今年の「時代の流れ」が反映されている。

 USAトゥデイ紙によると今年8月、米国最大のスーパーマーケット・チェーン「クローガー」が、国内の大都市圏にある同店で使い捨てのプラスチック製買い物袋の使用を禁止したと発表した。2025年までには全ての店舗で使用を取りやめる予定だとしている。理由として、「たった1度しか使わずに捨ててしまうのにたくさんのプラスチックの袋を使うのは意味がない」と顧客から指摘されていたことを挙げている。

 また、ジュースや水などが入ったペットボトルも「使い捨て」のプラスチックの代表的なものだ。英ロンドン市長は今年、このペットボトルのプラスチックごみを減らすことを目的に、ロンドン市内に100ヶ所以上の水飲み器を設置すると発表した。ロンドンの水道会社テムズ・ウォーターと提携している。

 コリンズで候補に上がった単語はほかに、次の9つだ(カッコ内は筆者による説明)。

・Backstop(本来はバックネットや後方の防壁などを意味する言葉だが、ブレグジットの条件のなかで、英国の一部である北アイルランドと、ブレグジットの影響を受けない南アイルランド共和国の国境のあり方として挙がっている案を表す言葉)

・Floss(ケイティ・ペリーのヒット曲『Swish Swish』で見られるダンス)

・Gammon(本来は豚肉の塩漬けを燻製したものを指すが、ブレグジットを支持する白人中年男性を意味する言葉として使われている。軽蔑的な表現なので使わない方が無難)

・Gaslight(自分が正気でないと思わせる心理的な嫌がらせ)

・MeToo(米国の映画プロデューサーによる性的暴力をSNSで告発した動きに端を発した、性的暴力の被害を告白したり被害者に連帯したりする動き)

・Plogging(ランニングしながらゴミを拾う、スウェーデン発のアクティビティ)

・VAR(ビデオ判定の略語。今年開催されたサッカー・ワールドカップで初めて導入された)

・Vegan(ヴィーガン。動物由来の食べ物を受け付けない人)

・Whitewash(映画などで本来は白人以外の役柄を白人が演じること)

Text by 松丸 さとみ