シネイド・オコナーがイスラム教に改宗 アイルランドの歌姫の過激で苦難の半生

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◆カトリック教会と対立 行きついたイスラム教
 シネイドは、敬虔なカトリック教徒の多いアイルランドの出身だが、カトリック教会に対して過激な姿勢を見せてきた。1992年には、アメリカのテレビ番組『サタデー・ナイト・ライブ』の生放送中にローマ法王ヨハネ・パウロ2世の写真を引きちぎり、メディアの見出しを飾った。これはカトリック教会の児童虐待に抗議したものだった。

 1999年には、ローマ・カトリック教会に属さない独立系のカトリック団体の司祭に任命された。カトリック教会はこれを「奇妙でばかげている」として退けたという。さらに2011年には、カトリック教会の性的児童虐待スキャンダルを猛批判し、バチカンは「悪魔の巣窟」と発言。カトリックに代わる教会の設立を求め、「キリストはうそつきによって殺された」と嘆いた(CNN)。

 シネイドの改宗を助けたIrish Muslim Peace and Integration Councilのイマーム(イスラム教の指導者)は、彼女はコーランを読んだ後、真実を探す上での自然な終着点がイスラム教であることに気付いた、と述べている(Irish Examiner)。同団体のプレス・リリースによれば、シネイドの改宗は熟考の上でのものだという。本人は、現段階ではスピリチュアルな幸せにフォーカスできるよう、プライバシーを尊重してほしいと願っているということだ。

◆精神疾患を告白 元歌姫の悲しい人生
 いくつかのメディアは、シネイドの精神状態が改宗につながったと見ている。実は彼女は2007年に、アメリカのトークショーで双極性障害であることを告白している。別のトークショーでは、実の母親から精神的、肉体的な虐待を受けていたと話しており、昨年名前をマグダ・ダヴィットに変えたのも、親の呪いから解き放たれたかったからと説明していた(米公共ラジオ網NPR)。

 2015年には、子供の親権をめぐる離婚した夫との法廷闘争が元で薬物を過剰摂取したことをソーシャルメディアで告白。翌年にはシカゴで行方不明になり、昨年は精神疾患をきっかけに家族に捨てられたとして、自殺をほのめかすようなビデオをネット上で公開していた(CNN)。PopCrushは、昨年のビデオ投稿により、音楽関係の友人、家族、ファンの間で、シネイドの健康状態への懸念が広がったとしている。そんな不安定な心の新しい拠り所となったのが、イスラム教であったのかもしれない。

 今回の改宗の発表について、何度も人格や宗教的アイデンティティを変容させてきた彼女にとっては単なる新しい過程に過ぎないという見方もある(NPR)。51歳の元スターの突飛な行動については、メディアの報道にも驚きと同情が入り乱れており、今後もスポットライトを集めそうだ。

Text by 山川 真智子

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