まさか!ミームの起源は学問にあり

Darya Sarakouskaya / Shutterstock.com

著:Erhan Aslanレディング大学 Lecturer of TESOL and Applied Linguistics)

 インターネットの世界では退屈している暇などない―そう、オンライン上で共有されるコンテンツは日々変化しているのだ。そして、その一端はユーザー自身の創造性によって担われている。人気の画像や動画のリミックス、パロディ、キャプション付け―そうやって生まれるのがミームである。

 パンチの効いたユーモア性—ミームは拡散と共有そして創造性によって形作られるインターネットという文化にうってつけの素材である。ミームは簡単なものに見えるかもしれないが、言語学的見地からすると意外にも洗練されたものといえる。ミームの作り手は(画像とキャプションという)「多層的な文法構造」を用いて、思いや意見を表現・共有している。また人々は、SNS上で共有されるミームに友人をタグ付けすることで、そこに自分なりの意味合いを付け加えていくのである。

                                                                                                                 

 さて、大変人気のあるミームであるが、その起源が学問の世界にあるということはあまり知られていない。「ミーム」という語は、リチャード・ドーキンス氏が1976年に発表した著作『利己的な遺伝子』の中で作り出した、進化生物学に由来するものである。ドーキンス氏によると、ミームとは「文化的に伝播及び模倣されていくもの」であり、神という概念、童歌やジョーク、キャッチフレーズやトレンドファッションといったものがその例として挙げられる。

 ミームという語はギリシア語で「模倣」を意味するmimemaに由来する。ドーキンス氏は遺伝子を意味する「gene」と韻を踏むようにこの語を縮めたようだ。文化が発展する中でも淘汰されずに残存していくミームの姿を、自然淘汰の中を生き延びる遺伝子になぞらえたのである。

◆爆発的な拡散性
 今日我々が理解しているよう、インターネット・ミームとは、あるものがユーザー間で共有され、模倣され、別の形へと変えられていくという大衆文化である。インターネット上ミーム研究の第一人者リモア・シフマン氏は、ミームとは、SNS上で広がっていくあるアイデアや画像そのもののことではなく、互いに意識し合いながら創られていく一連の作品群のことであると主張している。かの有名なグランピー・キャット(Grumpy Cat)を例に取ると、あの猫自体がミームであるのではなく、あの猫の画像から作られた一連の作品群がミームであるのだ。

 実のところ、ネット上に最初に現れたミームはアメリカの情報工学者スコット・E・ファルマン氏が1982年に生み出したあの横向きの笑顔 🙂 であった。記号を用いて感情を示すこの方法はすぐに世界中のネットユーザーに取り入れられ、:-( や 😉 といった別の表情もこの「顔文字」ミームのレパートリーへと加えられた。

 インターネットがより一般に流通した1998年には、カナダの美大生ディアドラ・ラカルトがウェブサイト上で公開した、一列になって踊るハムスターのGIFイラストthe Hampster Danceが人気を博した。同サイトへのアクセスは1999年6月末までに1700万回に達し、その後the Cuban Boys作のキャッチーな楽曲やHampton the Hamsterによるリミックスも流行、同サイトを真似たものまで作られた。とてもシンプルなものであるが、このミームはデジタルコンテンツが爆発的に拡散した最初の一例である。

◆次世代のミーム
 新たなタイプのミームが出現したのは、2000年代後半、インターネット上にペットの写真が溢れ返り出した頃であった。よく知られたものでは、Advice DogLOLCats、そしてGrumpy Catが挙げられるだろう。擬人化された動物の姿というものは、古代エジプトの神々からピーターラビットのような子供向けの物語に至るまで、人類の文化の中にずっと見られてきたものであり、それがデジタル時代にミームという形で再度現れたことは特に驚くことでもないだろう。

 また2000年代終盤には有名人や一般人を取り上げたミームも誕生した。Charlie Bit My FingerKanye InterruptsLeave Britney AloneCash Me Ousside/How Bah Dahといったものである。こういったミームはメディアイベントや人気動画をきっかけに、耳の早いネットユーザーによってパロディや模倣作品の制作、リミックスやマッシュアップが行われて誕生したものだ。

 ミームは時に政治的な考えやイデオロギーを伝えるために用いられることもある。漫画Boy’s Clubに登場するカエルのペペがオルタナ右翼勢力に用いられレイシズムのシンボルと化し、作者であるマット・フュリー氏自らの手により葬り去られるといった出来事もあった。

 Meme Generatorといったサイトを利用し、辛辣なユーモア性を持つミームを用いて敵対する政治勢力の主導者やその主張の非合法性を訴えようとすることも可能である。こういった活動は、その成果にはばらつきが見られるものの、アメリカイギリスでの選挙など大規模な政治的イベントにおいても広がりを見せている。

 デジタルコミュニケーションの発展や変化と共に、ミームもまた進化し続けるだろう。しかし決して変わらないのは、互いに繋がり合い、共有できる文化を創り上げていきたいという人間の願いである。ミームとは何でもないもののように見えるかもしれないが、新たなメディアを通じて人々の想像力や創造性を高め、社会との関わりを強めることで、この文化の共有に貢献するものなのである。

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by So Suzuki

The Conversation

Text by The Conversation

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