まさか!ミームの起源は学問にあり

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著:Erhan Aslanレディング大学 Lecturer of TESOL and Applied Linguistics)

 インターネットの世界では退屈している暇などない―そう、オンライン上で共有されるコンテンツは日々変化しているのだ。そして、その一端はユーザー自身の創造性によって担われている。人気の画像や動画のリミックス、パロディ、キャプション付け―そうやって生まれるのがミームである。

 パンチの効いたユーモア性—ミームは拡散と共有そして創造性によって形作られるインターネットという文化にうってつけの素材である。ミームは簡単なものに見えるかもしれないが、言語学的見地からすると意外にも洗練されたものといえる。ミームの作り手は(画像とキャプションという)「多層的な文法構造」を用いて、思いや意見を表現・共有している。また人々は、SNS上で共有されるミームに友人をタグ付けすることで、そこに自分なりの意味合いを付け加えていくのである。

 さて、大変人気のあるミームであるが、その起源が学問の世界にあるということはあまり知られていない。「ミーム」という語は、リチャード・ドーキンス氏が1976年に発表した著作『利己的な遺伝子』の中で作り出した、進化生物学に由来するものである。ドーキンス氏によると、ミームとは「文化的に伝播及び模倣されていくもの」であり、神という概念、童歌やジョーク、キャッチフレーズやトレンドファッションといったものがその例として挙げられる。

 ミームという語はギリシア語で「模倣」を意味するmimemaに由来する。ドーキンス氏は遺伝子を意味する「gene」と韻を踏むようにこの語を縮めたようだ。文化が発展する中でも淘汰されずに残存していくミームの姿を、自然淘汰の中を生き延びる遺伝子になぞらえたのである。

Text by The Conversation