世界的に増え続けるペット数、伸びる産業 人はなぜペットを飼うのか

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 2017年8月30日の中国のチャイナ・デイリー紙によると、現在中国はペットブームで獣医の数が足りないとのことである。つい一昔前まで、少し皮肉を込めて、「中国人はテーブルや机以外の4つ足なら何でも食べる」と言われていたほど、「動物」と言えば食料であった中国で、ペットを飼うようになったということは、それだけ中国人の意識が変わってきたことを示すのではないだろうか。ではその他の国ではどうなのだろうか。

◆世界各国のペット保有率
 2016年に「グロースフロームノレッジ」は世界の主要22ヶ国の各総人口に対するペットを所有する人の率を発表している。そのデータによると、1位アルゼンチン66%、2位メキシコ64%、3位ブラジル58%、4位アメリカ50%、5位ポーランド45%、6位オーストラリア39%、7位チェコ38%、8位スペイン37%、9位カナダ33%、10位ベルギー、フランス、ロシア29%という結果になった。ちなみに日本は17%で中国は25%だった。これをみるとペットの保有率が高いのは南米や欧米の西洋文化の国々であることがわかる。

 特に4位となったアメリカには、独特のペット文化がある。例えば、「ペットセキュア」によると、ペット所有者の9割はペットを家族の一員と考えており、27%がプロのカメラマンにペットの写真を撮ってもらったことがある。また36%がペットに誕生日のプレゼントをあげたこともあるそうだ。

◆人はなぜペットを飼うのか
 ではなぜ人はペットを飼いたがるのだろうか。一つには、人間は他人よりもペットの方が好きだという意見がある。テレビのゲームショー「ファミリー・フュード」でペットの犬が自分のパートナーよりいいと思うときの理由は何かという質問があったが、回答としてあげられていたのが「忠誠心がある」「口答えしない」というもので会場の笑いを誘っていた。

 オーストラリアのビクトリア州の前州知事のジェフ・ケネット氏は最近まで「ビヨンドブルー(憂鬱さを乗り越えて)」という憂鬱病者をサポートする団体の長を務めていたが、「人と犬の間には特別のつながりがある」と言っていた。確かに現代人は人との付き合いに疲れ、それを癒すためにペットを飼うのかもしれない。

◆伸びるペット産業
 いずれにしても、現状を見る限り世界のペット熱は今後もやみそうにない。ペット産業も進出が激しい。「ペットビジネス誌」は様々なペットビジネスについての情報を提供しているが、このサイトをブラウズしてみると、数え切れないほどのペットビジネスがみつかる。以下はその一部である。

  • ペットフードの販売:昔の番犬用の犬は残飯といって人間が残したものを与えられていたが、最近では加工したペットフードに加えて「健康志向のペットフード」が人気を呼んでいる。わざわざ取り寄せる人もいる。
  • ペットのホテル経営:飼い主が休暇などに行くときにペットの面倒を見てくれる「宿泊施設」
  • ペット商品の販売:ペット玩具やペット服などの販売
  • ドッグトレーニング:犬に芸を教えてくれる犬の学校
  • ペット輸送:飼い主が飛行機に乗って休暇などに一緒に連れて行きたいときに利用するサービス

 起業家向けサイト「エントレプレナー」によると、こうしたペット産業はこれからも伸びていくことが予測されており、その根拠として、

  • 不況知らず
  • 季節による影響が少ない
  • 顧客に使い方を教える必要がない
  • 『かわいい』がアピールする
  • ペットフードの利益は50%前後
  • 1994年以降市場は3倍以上成長している

などをあげている。

◆ペットに反対する動物愛護主義
 これに対し、ガーディアン紙によると、動物愛護主義者からはペットを飼うことに対して反対の意見が出ているとのことである。そこで挙げられた指摘内容をまとめると次のようになる。ペットとして連れてこられた子犬は親から切り離されており、しかも鎖につながれている場合はもちろんのこと、放し飼いにされている場合でも自由が拘束され、自分で選んだわけでもないペットフードを与えられている。これは生き物としての権利を奪うものというものだというもの。

 確かに一理ある。しかし、最近犬を飼い始めた知人のうれしそうな顔を見るにつけ、そして、その知人にじゃれてしっぽを振り続けるペットの犬を見るにつけ、ペット好きでない筆者でさえ、「犬と人間の間には何か特別なつながりがあるんだろう」とうなずいてしまうのである。

Text by Setsuko Truong

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