海外にも進出しているブックオフ 中古でも外国人から評判の良い日本製品

画像は同社提供(以下同)

ブックオフグループホールディングス株式会社(以下、ブックオフ)の子会社で、米国でBOOKOF店舗を運営するBOOKOFF U.S.A.INC.(以下、BOOKOFF USA)。

【画像】海外で展開しているブックオフ店内の様子

2024年2月に、アリゾナ州メサ市に「BOOKOFF Mesa店」をオープンしました。

ブックオフは、これまでニューヨーク州、カリフォルニア州、ハワイ州を中心にBOOKOFF店舗を展開してきましたが、新しい州への進出は23年ぶりとのこと。

ブックオフの海外事業支援部担当者に、アリゾナ州への初進出に至る背景や、海外でのBOOKOFFの反応、今後の展望について聞きました。

国内事業のほか、海外事業にも注力してきたブックオフ

1990年に創業して以来、書籍やソフトメディアを中心としたリユース商品の買取販売を行う国内事業を軸に、海外事業・プレミアムサービス事業・オンライン事業と事業の多角化を進めてきたブックオフ。

海外事業では、2000年のニューヨーク進出を皮切りに、海外への出店を進めてきました。

現状、日本と同様、書籍やソフトメディア、アニメグッズなどの買取販売を行うBOOKOFF USAがアメリカに14店舗、日本国内で販売機会に恵まれなかった商材を販売する「Jalan Jalan Japan(以下、JJJ)」がマレーシアに11店舗、カザフスタンに2店舗ほど出店されています。

ブックオフのMesa店ではアニメ関連商品が好調

BOOKOFF USAにおいて、初の内陸エリアとなるアリゾナ州への出店の背景には、2000年から24年にわたるアメリカ東西エリアへのドミナント戦略がありました。

日本人向けの日本人書籍を販売する店舗としてニューヨークに初出店して以来、試行錯誤を繰り返し、2010年代には現地商材のみを展開する店舗でローカライズを実現するビジネスモデルを確立。

積極的な出店を重ね、世界的なパンデミックの影響を受けながらも、2022年には日本のアニメグッズや漫画のニーズに応える新パッケージ「アニメ専門店」も出店しました。

「アメリカ東西のメガシティへの出店を進め、お客様に楽しんでいただくサービスを提供するために試行錯誤を繰り返した結果、アメリカではほぼ無名だった『ブックオフ』のビジネスモデルを浸透させ、お客様に楽しんでいただく下地を整えられたように思います。

機運が高まってきたタイミングだったので、今回アリゾナ州メサ市という飛び地への出店に動き出すことができました」(担当者、以下同)

中でもアリゾナ州メサ市を選んだ理由については、次のように説明します。

「すでにBOOKOFF店舗が複数出店している、カリフォルニア州に近いことがまずひとつ。

また、今回出店した地域は学生が多いことに加え、アニメコンベンションが開かれるなど、日本と親和性の高い地域です。

我々の商品やビジネスのニーズを感じ取れていたことから、出店する流れとなりました」

オープンしたてのMesa店では、書籍のほか、アニメ関連の商品の売上が伸長しているそう。

売れ筋の作品があるか尋ねると、現地では日本とは異なった購買行動の様子が伺えました。

「ドラゴンボールやワンピースなど定番人気の作品もありますが、それぞれが好きな作者やキャラクター、ストーリーを持っていて、周りに流されず自分が好きなものがほしいという理由で購入に至るケースが多いように思います。

ですので、日本とは違う需要があり、アメリカではお客様に喜ばれるものが多くあります」

今後のBOOKOFF USAでは、今回出店したMesa店を試金石として、5年後には30店舗、さらに10年後には100店舗展開させることを目標として掲げています。

「ニューヨークに初出店してから約20年の間で、ブックオフというビジネスが、アメリカ国内のお客様に喜んでいただけるものであることがわかってきました。

しかしながら、我々のサービスをお届けできる範囲はまだまだ限定的です。

なるべく多くのお客様に我々のサービスを使っていただくことで、より楽しく豊かな生活を送っていただきたい想いを、100店舗という目標に込めており、その目標を1つの通過点として、引き続き海外事業に取り組んでいきます」

「捨てない社会」の実現を目指すブックオフが運営する「JJJ」

一方、2016年からマレーシアや2022年からカザフスタンに進出している、BOOKOFF USAとは全く別のビジネスモデルである「JJJ」。

「捨てない社会」の実現を目指し、ブックオフのチェーン店舗だけでなく、企業が保有する滞留品や、返品などの訳あり品、鉄道や宿泊施設等の忘れ物、自治体で処分するまだ使えるモノなどを取り扱っています。

JJJを通じて再販する事で、モノの寿命を延ばし、廃棄削減につなげる取り組みを行っているのです。

2024年4月現在で11店舗ほど出店しているマレーシアでの人気商品は、ぬいぐるみなどの「おもちゃ」だそう。

その要因分析からは、日本のものづくりに対する信頼を感じ取ることができます。

「日本企業が作ったおもちゃは、精緻で品質が高く、長く使えるものが多い。

日本企業が作ったもの、日本人が大切に使ったもの、日本から来るもの。それら自体に価値を感じていただけている方が多いため、中古でも買っていただけるのだと思います」

他方、2店舗を展開しているカザフスタン。

日本製品もあまり出回っていないカザフスタンでは、どんな商品の人気が高いのでしょうか。

「食器類やカバン、洋服が売れ筋なのですが、中でも特に冬物衣料の需要がかなり高いです。

カザフスタンで特筆すべきなのは、東南アジアのマレーシアと違い、北海道と同程度の緯度のため、旧首都のアルマトイでは、気温がマイナスになる日も多い。日本からの冬物衣料は現地のお客様に喜ばれています」

JJJ事業における今後の目標は、BOOKOFF USA同様、向こう10年で100店舗の出店を達成すること。

出店拡大により、日本でのリユースが難しいモノの出口戦略として、「捨てない社会」の実現に大きく寄与していきます。

サステナビリティとエンターテイメントの側面を合わせ持ったブックオフの積極的な海外戦略には、今後も期待が高まります。

Text by 吉田真琴