AIスタートアップを「爆買い」するビッグテックら 最も多いのは……

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 ビッグテックのスタートアップ買収トレンドは減速傾向にあるものの、AI(人工知能)スタートアップの買収は積極的に行われている。その詳細とは。

◆AIスタートアップへの期待
 ChatGPT(チャットGPT)をはじめとする生成AIが浸透しつつあるなか、AIスタートアップ市場はさらに盛り上がりを見せている。ベンチャーキャピタル(VC)、プライベートエクイティ、M&A(企業合併・買収)に関する財務データベースとソフトウェアを展開するグローバル企業のピッチブックの記事によれば、昨今、スタートアップの評価額の世界において、「生成AI」と「それ以外」はまったく別物として取り扱われているという。アーリーステージの投資家たちは、生成AIのスタートアップの投資案件に対して積極的である一方、既存のポートフォリオ企業の不振状況をなんとかしようと躍起になっているという状況で、生成AI関連のスタートアップとそれ以外のスタートアップでは企業価値データに明確な開きがあるという。

 アーリーステージの生成AIスタートアップの資金調達前の企業価値の中央値は、昨年との比較で16%上昇。一方で、シリーズAやシリーズBの調達を行うそのほかのスタートアップの資金調達前の企業価値の中央値は24%も下がった。たとえば、ラングチェーン(LangChain)というAIスタートアップは、売上がほとんどない状態で2億ドルの企業価値がついた。他方、シリーズA以降のスタートアップについては、より大きな成長が求められているが、スタートアップ企業の顧客である大企業はコスト削減の流れで新たなテック投資を控えている傾向にあり、AI分野以外の既存スタートアップは苦戦を強いられている状況だ。

Text by MAKI NAKATA