米国1位の中国発ショッピングアプリ「ティームー」とは?

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◆人気急上昇の背景
 ティームーは、さまざまなベンダー、メーカー、ブランドの商品を低価格で購入することができるマーケットプレイス型のプラットフォーム。ファッションから家電・生活用品まで多種多様の商品が販売されている。運営するのは2022年に米マサチューセッツ州ボストンで設立された会社で、親会社は中国でオンラインマーケットプレイスピンドゥオドゥオ(Pinduoduo、拼多多)を展開するナスダック上場企業のPDDホールディングス。ティームーという名前は、Team Up Price Down(一緒になって価格を下げよう、といったような意味)に由来する。

 ティームーのプラットフォームでは、見た限りフルプライスの商品は見当たらず、すべて二重価格のディスカウント表記がなされているほか、人気商品においては10万個以上売れている、24時間以内に1603個売れたなどといった表記がある。中国で展開されているピンドゥオドゥオのような共同購入の機能は現時点ではないようだが、ソーシャルメディアのフォロワー数やライク数のような雰囲気で人気をアピールすることで、売れている特定の商品にさらに人気を集めるといった仕掛けがあるようだ。規模の経済だけでなく、中国のサプライヤーとの直接のつながりという点も低価格を実現できる背景にある。

 また、人気急上昇の背景には多額のマーケティング投資がある。ティームーは特にソーシャルメディアにおける広告に注力し、メタのさまざまなプラットフォームにおいて1月だけでも8900以上の広告を展開した。4ドルのTシャツや13ドルの靴など、超低価格の商品を広告に出し、人気No.1の座を維持しているようだとテッククランチは分析する。

 インフレや景気悪化に対する懸念などを背景に、アメリカの消費者が低価格に魅力を感じている状況がある一方で、アメリカでのイーコマースを継続的に成功させるためには、低価格以上の差別化が必要になると専門家は指摘する。継続的な広告投資だけでなく、中国で展開される共同購入の機能などの展開も期待されるが、アメリカでは共同購入はあまり知られていないという状況もある。

 しかしながら、若者を中心に新たな消費スタイルが流行することは十分に考えられる。ティックトック、シーインに続き、中国発のティームーがアメリカでどのように成功し続けられるか。ティームーの今後の展開に期待したい。

Text by MAKI NAKATA