米老舗リアル書店を復活させた元バンカー 今年30店舗オープン

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 数年前は業績悪化に苦しんでいたアメリカの老舗書店バーンズ・アンド・ノーブルが、2023年に30の新店舗をオープンすることが明らかになった。オーナーである投資運用会社エリオット・マネジメントとジェイムズ・ドーント最高経営責任者(CEO)のアプローチとは。

◆バーンズ・アンド・ノーブルの盛衰
 バーンズ・アンド・ノーブル(Barnes & Noble)は、当時は別の名前の書店として1886年に開始。20世紀前半にはバーンズ・アンド・ノーブルという現在の名前となり、全米に店舗を拡大させた。ピーク時の2008年時点では726の店舗を展開。ニューヨークの5番街には大型の旗艦店があり、同社はアメリカを代表する書店チェーンとして知られていた。

 21世紀以降、書籍のデジタル化やアマゾンなどのネット書店の台頭といった市場の状況を受けて、業績が悪化。2019年にはエリオット・マネジメント(Elliott Management)が6億8300ドルの価格で買収し、書店経営と再生の経験が豊富なジェイムズ・ドーント(James Daunt)がCEOに就任した。買収当時の店舗数は627店舗。買収以前の5年間で企業価値が10億ドル以上も下落していたが、投資家は非上場企業としての書店再生の可能性を見出していたようだ。

 買収とリストラクチャリングの過程を経た3年後の2023年、バーンズ・アンド・ノーブルは新たに30店舗を開店させると発表。新店舗の立地は、もともとアマゾンの店舗だった場所も含まれるとのこと。アマゾンは2015年にシアトルに初の実店舗をオープンさせ話題を呼んだが、2022年初頭、当時68店舗あった店をクローズし、実店舗の小売業態から撤退すると発表した。

Text by MAKI NAKATA