独自フォーマットで透明性追求 米で注目のメディア『セマフォー』がロンチ

Semafor via AP

◆透明性とグローバルな視点が特徴
 主に、ニューズレター配信とウェブサイト上にてセマフォーのコンテンツは配信される。その特徴の一つが、透明性であると同社は説明する。透明性を担保するための独自のフォーマットがセマフォーム(Semaform)と呼ばれる構造だ。具体的には、記事をニュース、記者の視点(もしくは)、反対意見の余地(反論)、ほかの場所(国・地域)からの視点(同じテーマに関する別の視点)、参考(ほかの関連記事など)というセクションに分けるというもの。セマフォームには、事実とジャーナリストの意見、視点、分析を明確に切り分けるという意図がある。テック・ジャーナリストのカラ・スウィッシャー(Kara Swisher)とビジネススクール教授・起業家のスコット・ギャロウェイがホストを務める、ニューヨーク・マガジンのポッドキャスト『ピヴォット』でのインタビューにおいて、ベン・スミスは、(溢れる情報に)圧倒されて何を信じていいかわからないというような、人々が抱えるメディアに対する不満や課題を解決するため、そして文字通り、透明性を高めるために、記事を切り分けるというフォーマットを採用したと説明する。

 セマフォーのもう一つの特徴が、グローバルなスコープを視野に入れている点だ。毎日配信されるフラッグシップ・ニューズレターの冒頭の目次は、「The World Today(本日の世界)」というタイトルのもと、その日のニューズレターで紹介される各地のニュースが世界地図上にマッピングされたデザインになっている。また、セマフォーという名前も、ギリシャ語にルーツを持ち、いくつかの言語で(旗)信号を意味する単語で、彼らのグローバルな野望が伺える。中国関連のニュースが存在感を発揮することに驚きはないが、アフリカ関連のニュースも充実。「アフリカ」は、ニューズレターのトピックとしてテックやビジネス、気候などと並び、個別のトピックの一つにもなっている。現在、彼らの採用ページでは、ワシントンに加え、ヨハネスブルグ、ラゴス、ナイロビそれぞれにおいて記者を募集している。

 同社は、ウェブやテック関連の投資家から 2500万ドルを調達。収入の4分の3は広告収入で賄い、残りはパートナー企業からのスポンサー料というビジネスモデルを計画しているとのことだ。激しい競争や収益モデル確立の難しさなど、挑戦が多いオンライン・メディア業界において、セマフォーの今後の展開が注目される。

【関連記事】
米ニュースサイト「アクシオス」が身売り ローカルニュース強化なるか
IPO果たした米バズフィード、調査報道から撤退 デジタルメディアの行方は
米経済メディア「クオーツ」が無料化 メディアの事業モデル模索続く

Text by MAKI NAKATA