マツダCX-30、「e-Skyactiv X」で評価分かれる? 英メディアレビュー

MAZDA CX-30 X L Package 2WD車(国内仕様)|マツダ

◆新型「e-Skyactiv X」への反応は?
 新型で最大のアップデートとなったエンジンについては、評価がかなり分かれているようだ。英テレグラフ氏は「仮にルックスだけでクルマが売れるなら、マツダはこれまでに100万台(のCX-30)を販売していたであろう」としつつ、「問題は、そうではないことだ」と続ける。美麗なエクステリアを剥いだとしてもその下に眠るパーツはおおむね競争力があるものだが、「ひとつの大きな欠点によって台無しにされている。エンジンだ」と記事は指摘する。マツダは一貫して大容量のエンジンを選択してきたが、CX-30でこれまで提供されてきた2種のエンジンのチョイスは、いずれも中速域の躍動感に欠けるものだった。

 新型CX-30における最大の改善点はまさにこのポイントであり、エンジン内部の見直しによってパフォーマンスを改善している。新エンジン「e-Skyactiv X」を採用し、マイルドハイブリッド・アシスタントシステム「Mハイブリッド」と組み合わせる。エンジンはピストンの改善で圧縮比を16.3:1から15:1に引き下げたことで、低速域のトルクを引き出しやすくなった。このほか、吸気バルブを開閉するインテーク・カムシャフトにひねりを加え、制御ソフトウェアの改善と併せて燃料カット時の挙動をよりスムーズにしている。

 ただし、このような取り組みを経てなお、「以前よりよいが、CX-30はきちんと改善されていない」とテレグラフ紙は述べる。長所としては低速の操作感は良く、1速から2速へのギア比が近いことから渋滞にも難なく対応できる。反面、中・高速で馬力が欲しいシーンには対応できず、意に反してギアを落とさざるを得ないという。坂道や高速への合流などが難所となりそうだ。「この(CX-30の)そのほかの部分は本当に愛すべきクルマであり、熟慮されたデザインと高い品質、そして丁寧に処理されたコントロールが融合しているだけに、なお残念でならない」と同紙は惜しむ。

 一方、英オート・カー誌(3月18日)は、テレグラフ紙よりもかなり良好な評価を下している。「エンジンは低速時のクルージングの改善が最も印象的だが、部分スロットル運転から低速・中速域のレスポンス性も称賛に値する」としており、自然吸気エンジンとしては想像を超えるレベルになっているとのコメントだ。両記事は、ともに2.0 e-Skyactiv Xエンジン搭載車を試乗している。トリムはテレグラフ紙がスポーツ・ラックス、オート・カー誌が「GTスポーツ・テック」と異なる。

◆英国では5つのトリム
 マツダ CX-30は、英国で5つのトリムで展開中だ。エントリーモデル「SE-L」は、2万2945ポンド(約348万円)からの設定となっている。上位の「SE-Lラックス」は、フロントシート・ヒーターやデュアルゾーン・エアコンディショニングなどで一歩上の快適性を追求した。「スポーツ・ラックス」では二回り大きなシルバー色の18インチ・アロイホイールにアップグレードし、ピラーやグリルなどをよりスポーティーなルックスとなっている。より上位では、「GTスポーツ」「GTスポーツ・テック」を揃える。トリム構成は異なるが、日本国内でも現在販売されている。

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Text by 青葉やまと