「ついにトヨタが」新EVシリーズ「bZ」発表、海外も注目「VWの賭けに参加」

「TOYOTA bZ4X」のコンセプト車両|トヨタ自動車

◆第1弾はピュアEV SUV
 bZシリーズ第1弾としてトヨタは、SUVモデルのEV「bZ4X」を発表した。スバルとの共同開発により生まれたもので、同じく共同開発によるe-TNGAのEV専用プラットフォームを採用している。特筆すべきは、EVならではの自由なレイアウトだ。オーバーハングを縮めてホイールベースにゆとりを持たせることで、Dセグセダン並みの室内空間を実現した。

 トヨタ bZ4Xはあくまでコンセプトの段階であり、具体的な仕様は発表されていない。しかしヴァージ誌は「コンセプトに過ぎないが、bZ4Xは完成に近いように思われる」と述べ、ほぼ今回発表されたままのデザインで販売に至るのではないかと見ている。

 インテリアで目立つのは、一般的なものと大きく異なる8の字状のステアリングだ。ハンドルを切る際に持ち変える必要をなくすほか、トヨタによるとスペースを広く見せる効果もあるという。操舵方式は電気信号で伝達するステア・バイ・ワイヤ方式を採用し、よりスムーズな運転感覚を実現する。bZ4Xは2022年中盤までに世界で発売される予定だ。

◆中国EV市場の覇権は
 bZ4Xは日本のほか、中国の拠点でも製造される。その中国でこれまでトヨタは、EVのライバル勢に水をあけられてきた。今回発表されたbZ戦略で、一気に巻き返しを図りたいところだ。

 ブルームバーグ(4月19日)は、bZシリーズの投入によってトヨタは、ピュアEVに力を入れるフォルクスワーゲンと同じ方向性を歩むことになると見ている。「EVの未来に対するフォルクスワーゲンの派手な賭け」にトヨタも乗った形だ、と記事は解説する。VWはEV専用プラットフォーム「MEB」を開発することで、電動化をいっそう強力に推進する戦略に打って出た。トヨタのe-TNGAもこれとよく似た構想と言えるだろう。

 昨今の中国市場では、EVとしては比較的安価かつ小型の車種が若者の人気を集めている。GMと現地企業とのジョイントベンチャーが日本円にして約48万円で販売する、宏光 ミニ EVもそのひとつだ。若い層を中心に人気のミニ EVだが、ロイターは「アメリカとヨーロッパではおよそ許されないであろう工程の省略をしている」と指摘している。エアバッグを運転席側にしか設けないなど、中国の保安基準を辛うじて満たす設計だ。これに対しトヨタは高い品質基準を貫くであろうことから、ロイターは「GMとトヨタはEVの異なる道を中国で歩む」と述べている。

 単一のe-TNGAプラットフォームをベースにさまざまなモデルを展開するbZシリーズは、ある程度のコストカットを可能にするだろう。一方、伸びゆく中国市場でGMにコスト面で対抗できるかにも注目が集まる。

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Text by 青葉やまと