なぜ日本メーカーはEVに消極的? 取り残されるのでは? 疑問の海外メディア

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 気候変動を引き起こす原因とされる温室効果ガス削減のため、各国政府は自動車の排ガス規制を強化している。脱炭素がトレンドとなり、世界中の自動車メーカーは、電気自動車(EV)の生産に力を入れ始めた。ところがトヨタをはじめ日本の自動車業界はEVシフトに躊躇(ちゅうちょ)しており、このままでは日本だけが取り残されてしまいそうだと海外メディアが報じている。

◆日本一人負け? 世界はEVに向かう
 日本の自動車業界が衰退に向かってしまう可能性もあると述べるのは、ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)だ。2009年に量産車としては世界初のEVである「リーフ」を発表したのは日産自動車だったが、いまや他国の自動車会社のほうがEVに力を入れているとする。世界規模で見れば、EVは全体の販売台数の3%以下だ。消費者はその価格にたじろぎ、車種も限定的、充電時間も長くかかるなど、ラグジュアリーモデル以外で利益を出すのは難しい。しかし、テスラだけでなく、ゼネラルモーターズ、ボルボなども完全EV化を宣言。中国や韓国企業もEVシフトが盛んで、異業種のアップルも参入を目指している。

 一方、日本メーカーは現在、ガソリンと電気を併用するハイブリッド車で世界の市場で優位を占めている。「リーフ」の元デザイナーは、この技術に多額の投資をしたためできるだけ長く利益を得たいのだろうが、EVの波は確実にやってきており、そのような短期的な目的が転換期における判断を間違えさせる危険性がある、と同紙に語っている。

 マーケティング・リサーチ会社、CMRのアナリストは、純粋なEVの開発をしなければ、トヨタのような自動車会社は、国に支援を受けた中国や韓国のライバルからの脅威に直面することになると述べる。EVにシフトしない会社は、目を覚まさなければ倒産の危機に陥るとしている(ガーディアン紙)。

Text by 山川 真智子