賛否両論でもターゲットを逃さない、ナイキのマーケティングとは

mimohe / Shutterstock.com

 ナイキは、有名スポーツ選手を起用したクリエイティブかつデザインの優れたコマーシャルで、消費者の心をつかんできた。最近は人種差別や政治的な問題をテーマにした発信を行っている。消費財メーカーとしては大胆過ぎるマーケティング手法を取る同社は何を狙っているのか。

◆高いマーケティング力 業界のリーダーに
 ナイキは、創業者のフィル・ナイト氏が車のトランクに積んだランニングシューズを売り歩くところからスタートした。いまでは世界をリードする巨大なアスレチックブランドとなり、2019年5月期の売上高は391億ドル(約4.1兆円)。

 成功のカギは、独特のマーケティングにある。ナイキの消費者へのスローガンは、「Just Do It」であり、逆境を乗り越えよというメッセージだ。過去3年間にわたり、ナイキは広告とブランディング、そしてCM出演契約を含む需要創出費用として、110億ドル(約1.2兆円)を費やしている。ナイキのマーケティング戦略は、エリート・プロアスリートと組み、スポーツでも人生においても、どんなチャレンジにも立ち向かうというメッセージの拡散だ(モトリー・フール)。

Text by 山川 真智子