「新型コロナのフェイクニュース流布」米FOXニュースが訴えられる

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 新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大しているアメリカ。ジョンズ・ホプキンス大学の調査によると13日現在、感染者数は55万人以上に上り、とどまるところを知らない勢いだ。アメリカでは3月半ば近くになるまで連邦・各州政府ともに積極的なウイルス感染予防対策を取っておらず、国民も「対岸の火事」ムードだった。しかし3月半ばを過ぎ、急激に感染者が増えると様相は一変。全米の各州は次々に外出禁止令を発動している。
 
◆人気司会者が「新型コロナウイルスはデマ」 
 トランプ大統領が今年初頭に見せていた新型コロナウイルスに対する楽観的姿勢に合わせたのか、この感染症を軽視した報道をしていたのが、おもにアメリカで政治的右派が好んで視聴するテレビ局「FOXニュース」である。情報サイト『VOX』によると、同ニュースで番組を持つ人気司会者のショーン・ハニティ氏は、3月9日まで新型コロナウイルスを「デマ」扱いし、11日には「新型コロナウイルスのヒステリア」が起きているなどと番組内で話した。しかし、ハニティ氏は18日になると手のひらを返したように「この番組はいつも新型コロナウイルスを真剣に扱ってきた」「デマと呼んだことはない」などと発言。またハフポストによると、4月1日には自分の番組内で、ハニティ氏の辞職を求めたワシントン・ポストなど他メディアからの批判に対して「逆ギレ」し、自分を批判したメディアを訴えることを考えていると息巻いた。

 FOXニュースでは3月9日、番組司会者のトリッシュ・リーガン氏が「民主党はトランプ大統領を攻撃するための武器として新型コロナウイルスを政治利用している」と発言(CNN)。その後、27日に突然リーガン氏の番組が終了され、同氏の退職が発表された(CNN)。理由は公表されなかったが、新型コロナウイルスの感染者と死者が日々激増している現在の状況で、同氏の失言が問題化したためと思われている。

 しかし、ハニティ氏はFOXニュースの顔ともいえる高視聴率を稼ぐ人気エンターテイナーであり、またトランプ大統領と親交が深い人物でもある。リーガン氏と同様の失言をしたとしても、FOXニュースがハニティ氏をクビにするとは考えにくい。

Text by 川島 実佳