フォーエバー 21破綻 ファストファッション業界の3つの課題

AP Photo / Mark Lennihan

 ファッションモール内に巨大な店舗を構えるフォーエバー 21は、ラメ入りのホルタートップが5ドル(約540円)、ワンピースが25ドル(約2,700円)と手頃に楽しめるファッションが、長年にわたり10代の若者の人気を集めていた。

 同ファッションチェーンは、いわゆる「ファストファッション」の人気に一役買ったが、新たな世代の若者を顧客に取り込むには、対応が遅すぎた。

 ロサンゼルスに拠点を置く非上場企業、フォーエバー 21は9月29日、米連邦破産法第11条に基づく破産申請を行った。10代の若者はファッションモールではなく現在流行中のオンラインサイトで買い物するようになっており、若年層の買い物の嗜好が急速に変化するなか、その波に飲まれる形での破産となった。

                                                                                                                 

 10代の若い世代は、ファッションが環境に優しいかどうかという点も気にかけており、たとえばパンツを買うなら数回使って捨ててしまうような代物ではなく、再生プラスチックで作られたものを選ぶ。さらに、洋服を何度も繰り返し使用できる古着サイトの人気も高まっている。グローバル・データ・リテールのレポートによると、中古ファッションビジネスは2028年までに640億ドルに達し、ファストファッションの1.5倍近くの規模となる見込みだ。

 今回の破産は、フォーエバー 21にとって急転直下の転落劇となった。同社は1984年に創設され、エイチ・アンド・エムやザラといったファストファッションチェーンと並び、1990年代半ばから始まった若者人気の波に乗った。その勢いは、アバクロンビー&フィッチやアメリカンイーグルなど老舗大手からも顧客を奪ったほどだ。

 ファストファッションの人気は、消費者が特売価格のファッションを求めていた「グレート・リセッション」の間に成長を遂げた。そしてフォーエバー 21は積極的な事業拡大に乗り出したが、ちょうどその時期から消費者はインターネットでの買い物を好むようになったのである。

 現在、同社は世界各国の350店舗を閉店している。そのうちアメリカの店舗は178店舗にものぼる。破産申請が行われた時点では、アメリカの500店舗を含む約800店舗が全世界で運営されていた。同社によると、総売上の16%を占めるeコマース事業は存続する見込みだ。

 SWリテール・アドバイザーズのステイシー・ウィドリッツ会長は、「世界が変わっても、フォーエバー 21は変わりませんでした。そして他社との競争で、背水の陣となったのです」と言う。

 ウィドリッツ氏らは、洋服のクオリティの劣化もまた同社の足を引っ張ることとなったと指摘している。

 しかし、ファストファッションはまだ滅亡した訳ではない。再出発に向けた準備が進められている。スウェーデンのチェーン店、エイチ・アンド・エムは、競争力で苦戦してきたが、より環境に優しいファッションの提供を目指して改革を進めており、復活の兆しが見られる。商品を少数ずつ高頻度で入れ替えることで、スピード重視の方針を掲げていたこともあったが、現在は製造工程の一部の電子化も進めている。

 アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズ社の傘下でアイルランドに拠点を置くプライマークは、2015年にアメリカ1号店を開店した。ジーンズを10ドル(約1,080円)、Tシャツを4ドル(約430円)などで販売している同ファッションチェーンは、アメリカで9店舗を展開しており、その売上は好調だ。プライマークもまた環境への配慮にとくに力を入れており、先月には、サステナブルな綿の導入に向けた取り組みを大幅に拡大することを発表した。

 アリックスパートナーズでリテール・プラクティス部門のマネージングディレクターを務めるソニア・ラピンスキー氏は、小売業の成功に必要なのはスピードだけではないと話す。

「小売業はきちんとした品質の商品と適切なストーリーを提供し、さらにサステナブルでなければなりません」と同氏は言う。

 フォーエバー 21をはじめとするファストファッション業界にとっては、次の3点が課題となっている。

◆新たなライバル、オンラインショップ
 ここ10年ほどで、インターネット上のみで展開するファッション企業が数多く出現している。ファッション ノヴァ、ナスティーギャル、ブーフーなどが代表的だ。たとえばブーフーは毎日100品超の新商品を販売している。

 ウィドリッツ氏は、「これらのサイトはキュレーションが優れていて、楽しめます」と言う。

 オンラインショップなら実際に店舗を運営する負担がないため、何度もセールを実施する余裕もある。また、ウェブサイトの一画を割いて、工場での労働条件や環境への取り組みに関する自社の行動規範を解説している。たとえば、オンラインファッションサイトのエイソスによると、同社は今年、カシミヤ、モヘア、羽毛、綿シルク、角製品、貝殻のウェブサイトへの掲載を禁止する見込みだ。

◆環境に優しい衣服
 若い消費者はまた、ファストファッションではなくオールバーズやエヴァーレーンなど、環境に優しいファッションを原則としたデジタルネイティブ世代の企業を求めている。ファストファッションチェーンをはじめとする従来型の小売業者には、再生材から作られた製品の開発や、製造工程の改良が求められている。

 エイチ・アンド・エムは、2020年までにすべての綿をよりサステナブルな方法で調達する方針だとしている。つまりリサイクル品かオーガニックコットンを使うか、世界最大の綿のサステナビリティプログラムであるベター・コットン・イニシアチブを通して調達することになる。同社はまた、ウェブサイトに新たな一画を設け、製品の製造場所、サプライヤー、工場の名前および住所、従業員数について詳しい情報の掲載を開始した。それに加え、ある衣服の製造に使われている材料についても詳細な情報を提供するほか、リサイクルの方法も解説している。

◆マイクロトレンドの出現
 ファストファッション企業は、一つの大きな世界規模のトレンドを取り入れ、自社の店舗に広めてきた。しかし現在、若者はソーシャルメディア上のインフルエンサーの真似をしたがるため、数多くのマイクロトレンドが存在しており、それをいかに取り込むかが各社の課題となっている。そのためアナリストらによると、フォーエバー 21をはじめとする小売業者は、洋服の種類を増やしながらそれぞれの出荷数は減らすよう工夫し、さまざまな消費者の需要を満たす必要がある。

 パブリシス・コミュニケーションのコマース戦略長、ジェイソン・ゴールドバーグ氏は、「若者の間では、エイチ・アンド・エムの店舗よりも、エッツィー(訳注:世界最大のハンドメイドマーケットプレイス)のサイトで服を購入する方がクールなのです」と語る。

By ANNE D’INNOCENZIO AP Retail Writer
Translated by t.sato via Conyac

Text by AP