「デモ支持・支持なら懲戒処分」香港キャセイ航空 中国に従う企業

AP Photo / Vincent Thian

 香港を拠点とするキャセイパシフィック航空の最高経営責任者(CEO)は12日、「違法な抗議運動」に関与した従業員に「懲戒処分」を科すと警告した。同社は近日中にも、中国に謝罪する企業として名を連ねるところだ。

 従業員向けに出されたこのメッセージをAP通信社が入手した数時間後、香港国際空港は、民主化を求める数千人もの抗議者たちが主要ターミナルを占拠したために空港を閉鎖し、当日の残りの便を欠航にすると発表した。

 2ヶ月以上にわたり多くの抗議者たちが半自治権を有する香港で運動を繰り広げるなか、高級ファッションブランドからバブルティー店までもが圧力を受けて抗議活動に距離を置き、中国共産党による香港の支配を支持する発表を行っている。

                                                                                                                 

 旧イギリスの植民地だった香港は、「一国二制度」の制度的枠組みで1997年に中国に返還された。ところが近年、返還時に約束された民主主義的自由がなし崩し的に骨抜きにされているとして、一部の市民が中国政府を非難していた。

 中国政府と香港当局では今回の抗議運動に関連して、その多くが警察の許可をとっておらず、違法で不正な集団行動だと指摘した。自身の主張を伝えるために暴力に訴えた「過激な」抗議者集団に対しては、幾度となく警告を発してきた。警察署にレンガ、生卵、火炎物を投げつけた抗議者もいる。

 キャセイパシフィック航空のルパート・ホッグCEOは従業員向けのメッセージのなかで、違法な活動に対しては「断固とした措置」を取ると伝えた。

 そのなかで同CEOは、「違法な抗議活動に支援や参加した社員には懲戒処分を科す。処分は重く、解雇になることもある」と述べている。

 中国民用航空局は9日、「違法な抗議活動や過激な行動に支援もしくは参加した」キャセイパシフィック航空の乗務員に対し、本土行きの便への搭乗を禁止すると発表した。また同航空に対し、本土行き及び本土上空を飛行する便の乗務員に関する身元情報を提供の上、承認を得るよう求めた。

 12日に送信されたeメールの中で同航空は、暴動容疑で一名のパイロットが起訴されたと述べている。このパイロットは7月中旬から飛行乗務に就いていないが、7月30日に任務が解かれた。最近では2人の地上勤務職員も不正行為があったとして解雇されたという。ただ、具体的な解雇理由は明らかにされていない。

 ホッグCEOは10日付けのメッセージの中で、民用航空局が定める規則を順守しなくてはならないと述べている。

「さまざまな見方があるかもしれないが、社員、顧客、国民をお互いに尊重し合うことが大事だ。香港に住み、この素晴らしい都市を我が家と呼ぶ私たちにとっては、これまでも、そしてこれからも困難な時期であることを承知している」とした。

 香港の政治紛争に巻き込まれた企業は、同社だけではない。

 高級ファッションブランドのジバンシィのほかベルサーチ、コーチは、香港、マカオ、台湾を独立した国名としてプリントしたTシャツを販売していた。中国のソーシャルメディアユーザーによる非難を受け、3社は謝罪の意を表明した。香港とマカオの公式な位置づけは、中国本土の諸州よりも高度な自治権を持つ「特別行政区」である。これに対し台湾は1949年の内戦時に本土から分離したが、中国共産党はこの島を自国の一部と主張し、「再統合」が必要としている。

 コーチは12日に出した声明の中で、自社製Tシャツのデザインに「重大な間違い」があったとし、「お客様の感情を傷つけたことは誠に遺憾」とコメントしている。

 ベルサーチも10日、一部の都市名と国名の組み合わせが正しくない「不正なデザイン」があったという。デザインが施されたTシャツは全ての公式販売チャネルから取り除かれ、7月24日に「処分された」という。「当社は中国に心を寄せ、中国領土の主権を尊重する」と同社は述べている。

 台湾のバブルティーフランチャイズのCoCo都可と中国系ライフスタイルブランドのポップマートも、両社と関係する人物が香港の抗議活動を支援したことについて謝罪した。

 これほどたて続けに謝罪がなされるのは珍しいことであるが、外資系企業が香港や台湾に関する共産党の公式な立場に従うよう、圧力をかけられるのはこれが初めてではない。

 ブリティッシュ・エアウェイズ、ルフトハンザ航空、エア・カナダなど航空会社20社は昨5月、民用航空局からの要請を受け、世界で利用されるウェブサイトで台湾を中国の一部と明示する修正を行った。これに対しアメリカのホワイトハウスは、中国からの要請を「ジョージ・オーウェルの小説に登場する全体主義国家を思わせる「ナンセンスなもの」と評した。

By YANAN WANG Associated Press
Translated by Conyac

Text by AP