南アフリカ、期待される社会起業家 その可能性と課題点

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◆「社会起業家」概念の認知度が低い
 南アフリカの社会起業家が直面する問題の一つには、そもそも「社会起業家」という概念があまり知られていないことが挙げられる。

 南アフリカでは、非営利団体が多い。統計事務所STATS SAのデータによると、2014年時点で12万以上の非営利団体が活動している。

 しかし従来の非営利団体と異なり、ビジネスを通して社会問題の解決に取り組む社会起業家という概念がまだ南アフリカでは定着していない。「社会起業家」の共通の定義がなく、一般的に理解されていない。また、社会問題を通じてお金儲けをすることに批判的な人も少なくないのが現状だ。

                                                                                                                 

◆資金調達
 次に、社会起業家がスケールアップしていく上で問題になるのが資金調達である。資金調達は社会起業家に限らず、南アフリカのベンチャー起業や企業全般にとって大きな問題である。

 南アフリカに限ったことではないが、財団やチャリティーの寄付は非営利団体支援を目的にする場合が多い。先に述べたように、営利目的の企業を快く思わない団体も少なくない。社会投資家に投資するインパクト投資の概念が広がりつつあるが、依然投資額は限られている。

 ヨハネスブルグのSAB Foundationは非営利・営利事業体にかかわらず、社会起業家を対象とした表彰や寄付活動を行っている。毎年行われるSocial Innovation and Disability Empowerment Awardsでは南アフリカで活躍する社会起業家が20人選ばれる。しかし融資・投資ではなく寄付のため、額が少ないのが問題だ。

◆事業体の法制化
 南アフリカで社会起業家が事業をおこす際、非営利団体か営利企業の二つの事業体の選択肢しかない。非営利団体の場合は寄付に頼り、持続性に欠ける。反対に営利企業の場合は課税免除がない。また社会起業家は営利企業だとしても、現地の銀行などでローンを組むのはかなりハードルが高い。

 米国にあるような低収益合同会社(L3C=low-profit limited liability company)などの課税除外適格が認められる事業体の法制化が望まれる。

 南アフリカで社会起業家たちがよりいっそう活躍するためには、政府からの支援が求められている。今年半ばには南アフリカ経済開発省による社会経済セクター政策の提案書が発表される見込みだ。2月から3月にかけては、NGO、NPO、教育機関などとの協議が予定されている。

Text by 中川沙和