ホンダ英工場閉鎖 原因はブレグジットではなく、業界の「先例のない変化」

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 ホンダは、2021年までにイギリスのスウィンドンにある工場を閉鎖すると発表した。混迷するEU離脱交渉が影響したのではと、イギリス国内では大々的に報じられている。その一方で、今回のホンダの決定は、自動車業界の変化に対応するための企業としての妥当な判断で、離脱の有無にかかわらず、起こるべくして起こったことだという見方もある。

◆広がるブレグジット原因説 政府の無能さに批判
 ホンダがスウィンドンに工場を構えたのは1985年。年間約16万台のシビックを生産し、世界70ヶ国に輸出している。3500人の従業員に加え、数千人が下請けや関連会社で雇用されている。従業員のなかには長期にわたって雇用されている者も多く、今回の発表は衝撃的に受け止められている。

 実は、イギリスでは自動車会社の撤退や縮小が続いている。2月初めには日産が、予定していたエクストレイルの次期モデルの生産中止を決定。1月にはジャガー・ランドローバーが4500人の雇用を削減すると発表していた。

 英国最大の労働組合ユナイトの広報担当、デズ・クイン氏は、ホンダの決定の背景には、離脱交渉に失敗した保守党政権が作り上げた不確実さがあると主張。もし政府が経済と雇用を守る、強く安定したブレグジットに進んでいたなら、状況は違っていたはずだと述べる(ユーロニュース)。ガーディアン紙も、政府が自国の混乱を収められないということは、投資家を遠ざけることになり、当事者の一方としての責任を果たすことができていないと述べる。投資先としてのイギリスの信頼が薄れていき、今後自動車以外の企業が追随することを懸念している。

Text by 山川 真智子