ロボットに仕事奪われる? 4人に1人の労働者にその可能性 米国

AP Photo/Matt Rourke

 機械が日常業務をこなすようになると、大半の仕事に何らかの変化が起きる。しかし、アメリカの労働者の大多数は、機械に取って代わられることなくそれらの変化に対処することができるだろう。
 
 一部のレストランのチェーン店は、客が自分でメニューの注文を行う機器を既に導入したり、ロボットが調理を支援する仕組みを実験的に採用したりしている。

 今年、グーグルは、ホテルのロビーでデジタル音声アシスタントを活用し、会話を即座に数十ヶ国語に翻訳し、異なる言語間で交わされる会話の同時通訳サービスを試験的に開始した。自律走行車は、短距離ドライバーの代わりに宅配便を配送するようになる可能性がある。ウォルマートや他の小売業者は、顔認識テクノロジーを搭載したカメラやセンサーを店内に配置し、キャッシュレスで買い物ができる店舗の開設を準備している。

 ブルッキングス研究所の報告では、アメリカの中部、中西部や北東部の重工業地帯にある規模の小さな都市でこういった変化が最も顕著であるという。労働者が失職する危険性は、インディアナ州やケンタッキー州で最も高い。これらの地域では、ほぼ半数の労働力が労働集約型の製造業や運送業に従事している。この変化はまた、自動化によって仕事を失う危機に直面している飲食店や、他の産業で働く若い労働者に偏って影響を与えるだろう。

 ムーロ氏は、「レストランは、従業員を大幅に削減しても何とかやっていけるだろう。ホテル業界では、宿泊客の対応のために5人もの人員を配置する代わりに、担当者は1人だけにし、基本的に宿泊客のセルフサービスでチェックインやチェックアウトを実施してもらうことになる」と言う。

 トロントにあるヨーク大学のマティアス・コルテス助教授は、ブルッキングス研究所の報告には関与していないが、「多くの経済学者は、全体的に見れば自動化は労働市場に対し良い影響を与えると考えている」と述べている。自動化は経済的な成長をもたらし、物価を低減し、需要を拡大する。その一方、失われる仕事に代わる新しい仕事を創出する。

 しかし、コルテス助教授は、「明確な勝者と敗者が生まれることは間違いない」と語る。近年、自動化の影響を最も強く受けたのは、製造業や他の肉体労働に従事する学歴の低い男性、および、事務仕事や管理的な仕事を担当する中等レベルの教育を受けた女性たちである。

 将来的には、機械がさらに賢くなるにつれて、より多くの労働者階級が自動化の影響を受けるようになる可能性がある。ブルッキングス研究所の報告は、経営コンサルティング企業のマッキンゼーが実施した調査結果に基づいて、それぞれの職業が自動化の影響を受ける可能性を分析した。自動化や人工知能の影響をほとんど受けないのは、高度なレベルの教育を必要とするだけでなく、高度な対人コミュニケーション能力や感情的知性をも求められる職業だという。

 コルテス助教授は、「高い報酬を得られるこれらの仕事は、豊富な創造性と高度な問題解決能力を必要としている。いくら新しいテクノロジーが登場したとしても、そのような仕事を肩代わりできるようにはならないだろう」と語る。

By MATT O’BRIEN, AP Technology Writer
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Text by AP