イケアがアフリカのクリエイターと商品開発に取り組む理由 「あらゆる場所」を世界の日常へ

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◆南アの世界的デザインプラットフォーム「Design Indaba」とは
 今回、イケアとアフリカ各地のデザイナーとの共同商品開発が実現したのは、同社の直接的パートナーである、南アフリカの世界的デザインプラットフォーム、Design Indabaの存在があってこそのこと。Design Indabaは、南アフリカのケープタウンを拠点に、オンラインの発信プラットフォームと年一回のデザインフェスティバルを展開する団体だ。2015年の発足以来、「a better world through creativity(クリエイティビティがもたらすよりよい世界)」をモットーに活動する。

 Indabaは、南アフリカのズールー族やコサ族のリーダーが執り行う重要な会議を意味する単語だ。Design Indabaの活動領域はグローバルだが、アフリカ各国のクリエイターやアフリカからの視点の発信に重点を置いているのが特徴で、今回のイケアとのコラボレーションにあたり、10人のアフリカ人デザイナーの選出を行った。2017年3月にケープタウンで開催された「Design Indaba Conference」にて、これらのデザイナーと、イケアのインハウスデザイナーが集い、商品開発がキックオフしたという経緯がある。

 ÖVERALLTコレクションは、最終的には40以上の商品となって、来年2019年から期間限定で、店舗やオンラインにて発売される予定。各デザイナーが置かれたアフリカの文脈の影響を受け、文化性やサステイナビリティへの配慮といったようなアフリカ的デザイン視点が、イケアの商品とブランド力というメディアによって、世界に広まっていくことが期待される。

Text by MAKI NAKATA