PUBG、著作権侵害で『フォートナイト』を提訴 因縁浅からぬ両社の関係
2017年もっともヒットしたゲームと言われている『PUBG(PLAYUKNOWN’S BATTLEGROUNDSの略称)』の開発会社が、2018年もっとも注目されているゲーム『フォートナイト』の開発会社を著作権侵害で訴えていたことが明らかになった。この訴訟の背景を追っていくと、ふたつの開発会社の因縁浅からぬ関係が見えてくる。
◆システムは違えど起源は同じ
ビジネスインサイダーは30日、PUBGを開発する韓国の企業ブルーホールの子会社PUBGがフォートナイトを開発するアメリカ企業エピック・ゲームズの韓国法人を著作権侵害で訴えたことを報じた。このふたつのゲームは、ひとつのゲームステージで最大100人のプレイヤーが最後のひとりになるまで戦う、というバトルロイヤル方式のアクションゲームに分類される。件の訴訟に関して、ブルーホールのヴァイス・プレジデント兼エグゼクティブ・プロデューサーであるチャン・ハン・キム氏は「われわれは、フォートナイトがPUBGが世に知らしめた体験を複製しているかも知れない、という懸念を抱いております」という声明を出している。
バトルロイヤル形式という点は両方のゲームに共通しているが、フォートナイトにはPUBGにはない「建築」というゲームシステムがある。同ゲームでは、ゲームステージ内から素材を集めて、ゲーム「マインクラフト」のように建物を築けるのだ。効率的に建物を建てることは、最後の一人となって勝利するために不可欠なことである。
バトルロイヤル方式というアイデア自体は、2000年に公開された日本映画『バトル・ロワイヤル』にまでさかのぼることができ、同映画は後の映画やゲームに影響を与えた。ちなみに、PUBGには同映画に「オマージュ」を捧げたアイテムが存在する。こうしたアイテムに関して、ビジネスインサイダーはブルーホールに同映画の権利者にライセンス料を払っているか問い合わせたところ、同社の代表者はコメントを拒否した、とのこと。
◆お株を奪ったフォートナイト
ブルームバーグも29日、件の訴訟を報じた。その報道では、ブルーホールとエピックゲームズの関係に焦点が当てられている。ブルーホールはPUBGの開発にアンリアルというゲームエンジン(ゲーム内で起こる物理現象を演算するプログラムセット)を活用している。このエンジンを開発しているのは、フォートナイトを開発しているエピックゲームズなのだ。さらに、中国のインターネットサービス大手であるテンセントがふたつの企業の株を所有している。
また、エピックゲームズは2月、フォートナイトのプレイヤー数が340万人に達し、PUBGが1月に記録した330万人を突破した、と発表した。PUBGのプレイヤー数は1月以降減り続け、現在は150万人となっている。
ゲーム動画視聴プラットフォームであるトゥイッチの視聴者数を比べると、今月29日、フォートナイトが26万人に対してPUBGは約10分の1の2万7千人であった。フォートナイトの視聴者のうち半数は、今年になってPUBGからフォートナイトに転向したゲームプレイヤーのNinjaを追いかけて来たのだ。
◆火種は昨年9月から
今回の訴訟の火種は、昨年9月にフォートナイトがバトルロイヤルモードを追加実装した時からあった。この時、ブルーホールはエピックゲームズに抗議する声明を発表した。
ブルーホールは、フォートナイトがPUBGに類似していることのほかにも、プロモーションにおいて不当にPUBGを利用している、とも主張していた。同社のチャン・ハン・キム氏は「エピックゲームズは、フォートナイトのコミュニティへのプロモーションとプレス活動においてPUBGを参照していることに、われわれは懸念を抱いております。この件に関してはわれわれは議論したことがなく、正当なこととは思いません。PUBGコミュニティは、さらなる行動について熟慮しながら、ふたつのゲームが類似している証拠を引き続き提供していきます」と声明を出していた。