スーパーカーの欠かせない条件:ミッドシップという悦楽

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◆ランボールギーニ ウラカン 価格:2462万円~

© Lamborghini

 フェラーリが今時のダウンサイジングターボへと変貌していく中で、ランボールギーニは頑なにV10の自然吸気を採用している。確かに中低速のピックアップはフェラーリに軍配が上がるだろうが、調律された高回転まで回る大排気量自然吸気エンジンのどこまでも伸びていく加速感はターボにはない官能がある。

 4WDを採用している抜け目のないクレバーさも持ち合わせている。500馬力を超えるクルマを後輪だけで走らせるのはもはや「漢」。クルマがなんとかしてくれるとは言いながら全幅の信頼を持って踏めるのはやはり4WDである。

 幅は少々広いが比較的コンパクトなサイズなので他人の目さえ気にしなければ、長距離ドライブからサーキットまでオールマイティな1台であろう。コンビニの駐車場やガソリンスタンドの入り口でも慌てないように、車高を上げるシステムが標準装備である。こう見えても結構気がきく奴なのだ。触媒を暖める関係で、始動時の1分は途方も無い爆音するので、そこだけは注意のこと。

◆品の良さ。新型Audi R8 Spyder 価格2618万円〜

© Audi

 こちらはAudi製のスーパーカー。先に紹介したランボールギーニ ウラカンとは基本コンポーネンツは一緒。

 このAudi R8 も昔ながらのスーパーカーと一緒、ほとんどが手作り。500人弱の職人さんが一切の妥協を排して1日あたりの生産台数は10台と見た目よりもさらに特別なクルマである。外観も、フィーリングも兄弟車とは思えないキャラクターの違いが面白い。

 Audiお得意のフルタイム4WDに自然吸気V10エンジン、知的でラグジュアリーな内外装、そしてオープンというエグゼクティブの心をかどわす仕掛けがたっぷり。今回ご紹介した3台のスーパーカーの中では一番実用性が高いと見せかけてスーパーカーでオープンカーというキレキレの1台。上品な中にも狂気を隠し持ったモデルといえよう。

 世界中の富豪がなぜスーパーカーに熱狂するのか。その理由は運転してみればわかるはずだ。そこには何にも代え難い快楽がある。脳みそが揺さぶられる加速G、高貴なエグゾーストノート、エレガントで筋肉質なスタイリング、全てがきらびやかで自信に満ち溢れている。毎日が退屈なあなたの人生をガラリと変える力がスーパーカーにはあるのだ。

Text by 小野 真人