スーパーカーの欠かせない条件:ミッドシップという悦楽

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 スーパーカー。ある世代以上の男性にとってはある種憧れの存在かもしれない。高性能大出力エンジン、エキゾチックなスタイリング、少量生産で高価であること、それはスーパーカーの外せない要件だが、何よりミッドシップであることが大事であると、筆者は考える。

 ミッドシップとは、クルマの前軸と後軸の間にエンジンを配置するレイアウトのこと。パッセンジャーよりもエンジンをクルマの特等席に鎮座させるパッケージングである。設計思想として言えば、重量物であるパワートレインをボディの中心の低い位置に搭載することで、軽快なハンドリングを実現するためと言われる。コマの重心は中心にあることを想像していただければよいだろう。

 しかし、最新のテクノロジーの進化を考えれば、ハンドリングに対するミッドシップの優位性はもはや前時代のこと。エンジンのダウンサイジング化や4WD化、そして様々なセンサーによる挙動の制御の恩恵もあり、エンジンが中央にあることが他の駆動形式と比べてスポーツ走行にアドバンテージがあるとは言い切れない。

                                                                                                                 

 ではミットシップの意味合いは?そう問われれば、単なる贅沢のためと言えるだろう。スーパーカーに乗ると言うことはそういうものだ。何にも変えがたい美しさと強さをひめたスタイリングと強烈な加速。スーパーカーというスタイルのために居住性も機能性も極端にそぎ取った孤高の存在。

 なんという贅沢なのだろう。筆者はこの割り切った精神性にこそ贅沢を感じるのだ。わがままなモデルを恋人にするようなものかもしれない。

 それではそんなスーパーカーの中でも初心者向けの3台をピックアップしてご紹介してみよう。

◆実はお買い得かもしれない。フェラーリ488GTB 価格:3070万円〜

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 3000万円超が「お買い得」だと断言できるのは、下取り価格が非常に高いからだ。いま流行りの残価設定ローンを組めば3年後の買取価格が75%という日本車では考えられない下取りの高さを誇る。頭金をいくばくか払えば、大した支払いもなくフェラーリのオーナーになれるというあんばいだ。ブランド力があってこそのものである。ちなみに新車保証は7年間。維持費もほとんど気にする必要はない。ただし、保険料だけは要注意だ。

 クルマ本体についても軽く触れておこう。この488GTBは2015年にデビューしたフェラーリのミドルレンジに当たるモデル、前モデルの458 イタリアはV型8気筒4.5リッター自然吸気ユニットだったのに対しこの488GTBは3.9リッターへと縮小、フェラーリも例外なくダウンサイジングターボ化の道を歩んでいるのだ。

 低回転から圧倒的なトルクが出ているので運転は楽チンだ。アクセルの開度とほぼリニアにクルマは前に進む。運転に自信がなくても慣れることはできるだろう。

 見栄で買うにはぴったりのスーパーカーだが、実際の普段乗りには図太い神経が必要となる。普通の人は出掛けた先での狭い駐車スペースや、段差が気になるガソリンスタンドのことを考えるだけで、二の足を踏むものだ。

◆ランボールギーニ ウラカン 価格:2462万円~

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 フェラーリが今時のダウンサイジングターボへと変貌していく中で、ランボールギーニは頑なにV10の自然吸気を採用している。確かに中低速のピックアップはフェラーリに軍配が上がるだろうが、調律された高回転まで回る大排気量自然吸気エンジンのどこまでも伸びていく加速感はターボにはない官能がある。

 4WDを採用している抜け目のないクレバーさも持ち合わせている。500馬力を超えるクルマを後輪だけで走らせるのはもはや「漢」。クルマがなんとかしてくれるとは言いながら全幅の信頼を持って踏めるのはやはり4WDである。

 幅は少々広いが比較的コンパクトなサイズなので他人の目さえ気にしなければ、長距離ドライブからサーキットまでオールマイティな1台であろう。コンビニの駐車場やガソリンスタンドの入り口でも慌てないように、車高を上げるシステムが標準装備である。こう見えても結構気がきく奴なのだ。触媒を暖める関係で、始動時の1分は途方も無い爆音するので、そこだけは注意のこと。

◆品の良さ。新型Audi R8 Spyder 価格2618万円〜

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 こちらはAudi製のスーパーカー。先に紹介したランボールギーニ ウラカンとは基本コンポーネンツは一緒。

 このAudi R8 も昔ながらのスーパーカーと一緒、ほとんどが手作り。500人弱の職人さんが一切の妥協を排して1日あたりの生産台数は10台と見た目よりもさらに特別なクルマである。外観も、フィーリングも兄弟車とは思えないキャラクターの違いが面白い。

 Audiお得意のフルタイム4WDに自然吸気V10エンジン、知的でラグジュアリーな内外装、そしてオープンというエグゼクティブの心をかどわす仕掛けがたっぷり。今回ご紹介した3台のスーパーカーの中では一番実用性が高いと見せかけてスーパーカーでオープンカーというキレキレの1台。上品な中にも狂気を隠し持ったモデルといえよう。

 世界中の富豪がなぜスーパーカーに熱狂するのか。その理由は運転してみればわかるはずだ。そこには何にも代え難い快楽がある。脳みそが揺さぶられる加速G、高貴なエグゾーストノート、エレガントで筋肉質なスタイリング、全てがきらびやかで自信に満ち溢れている。毎日が退屈なあなたの人生をガラリと変える力がスーパーカーにはあるのだ。

Text by 小野 真人

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