アップル、中国のストアからVPNアプリを削除 党大会控え当局の規制に従う

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著:Oiwan Lam(Global Voices Regional Editor for Northeast Asia)

 アップル社は中国のアップル・ストアにあるバーチャル・プライベート・ネットワークを提供するアプリを削除した。

 中国政府がバーチャル・プライベート・ネットワークを提供する企業を取り締まると発表した一ヶ月後、アメリカを拠点とするテクノロジー企業のアップル社は、中国の新しい規制に従い中国のアップルストアからVPNのサービスを削除すると顧客に通告した。

 VPNは、異なる場所のネットワークへの機密性の高い安全な接続を可能にし、ネットユーザーが検閲を避けることができるアプリケーションのことだ。

 イギリスを拠点とする企業のエクスプレスVPN(Express VPN)は2017年7月29日、「中国では違法の内容を含むため」、中国のアップル・ストアからVPNのアプリを削除したというアップル社からの通知を公開した。

 エクスプレスVPNの調査チームは、iOS用の全ての主要VPNアプリが削除されたことを明らかにした。

 エクスプレスVPNは、「言論の自由や市民の自由を脅かす中国の規制努力を助成するものだ」とアップル社を批判した。

「VPNの使用を阻止するために、中国政府がこれまでで最も抜本的な処置を講じることに我々は失望している。そして、なぜアップル社が中国の規制努力を助成するのか理解しがたい。エクスプレスVPNは言論の自由や市民の自由を脅かすこのような措置に強く非難する」

 中国以外の地域ではVPNアプリはまだ利用できるため、アップル社のアカウントを中国以外の請求先住所を使い、海外のアップルストアに登録していれば、中国ユーザーはアプリをダウンロードし使い続けることができる。アップル社はこのように示している:

「他の地域のアップル・ストアにアクセスしている中国ユーザーは影響を受けない。(例えば、請求先住所を中国以外の地域に指定している場合)以前と変わらず、iOSのアプリをダウンロードしたりアップデートし使い続けることができる」

 VPNの取り締まりはおそらく中国の「インターネット主権」の主張であるが、インターネットユーザーは中国政府によってグーグルやユーチューブ、フェイスブック、そしてグローバルボイスなど多くの海外サイトへのアクセスを阻止される。

 新しい規制は学問や科学調査にも影響を与える可能性がある。パーソナルVPNを携帯で使用している清華大学の教授は、 VPNサービスの削除が学者の仕事にどのような影響をもたらすか、メディアインタビューで説明した

「研究者が外の世界から隔離されたら、真に世界と肩を並べる一等級の研究を進めることができない。全く考えられないことだ」

 1月上旬、中華人民共和国工業情報化部は、国境を越えて展開する「違法サービス」を規制するものだと発表した。今回の措置は未登録のVPNを規制するためであり、2018年3月まで禁止すると表明した。

 現在行われている個人のVPN使用の取り締まりは、秋に行われる中国共産党の第19回全国代表大会に関係していると考えられている。海外の中国語メディアの報道によると、政治局常務委員会の大多数の委員が今年度で引退となり、委員会内部で権力闘争が起きているという。権力者たちは、センシティブな政治ニュースが国内ネットワークを通じてこっそりと持ち込まれたくはないのだ。

 今回の措置に驚いた人もいるかもしれないが、アップル社の決定は予想されていた。2017年7月12日、 中国ユーザーのデータを保管するよう企業側に求めたサイバー・セキュリティー法に従い、アップル社は中国のデータ管理企業と提携し、新しいデータセンターを設立すると発表した

 アップル社は、中国政府を含むどの当事者も企業のユーザーデータにアクセスできないよう、データセンターは強力な暗号化システムを搭載していると強調した。しかし中国のサイバー・セキュリー法によると、テクノロジー企業はテロリストに対抗する手段として政府に技術サポートを提供しなければならない。つまりこの条件は法執行機関にユーザーデータへアクセスする権利を与えてしまう可能性がある。

 さらに言えば、捜査当局は他の犯罪調査にもユーザーデータを要求できる権利を持っている。2005年、当時中国ではデータは保管されておらず、企業は公開要求を拒否することもできたが、ヤフーは中国人記者である师涛氏のユーザー情報を捜査当局に引き渡した。政府はその情報をもとに、国家機密を漏らしたとしてその記者を起訴し、有罪判決が与えられた。その結果、彼は8年5ヶ月を刑務所で過ごすことになった。

 アップル社が中国に自社のデータセンターを建設すると発表する前、アマゾンやIBM、マイクロソフトなど他のテクノロジー大手企業は中国の法律に従い、すでに中国企業と協力しデータセンターを設立している。

 VPNの取り締まりとは別に、国民を外の世界と遮断するために中国当局は他にも対策を講じた。仮装専用サーバー(VPS)上で動く暗号化通信を提供するアプリケーション「シャドウソックス(Shadowsocks)」のような回避ツールを阻止する狙いだ。

 海外のウェブサイトを観覧するためシャドウソックス(Shadowsocks)を使った中国人ネットユーザーは、7月17日にインターネット通信が突然切れたと説明した。次の日サイバー・セキュリティー警察が調査を手助けするよう彼を警察署に呼び出したが、彼はそこで尋問を受け回避ツールを使用しないと約束する書類にサインをするよう求められたという。彼のインターネットサービスは7月19日に再開された。

 ネットユーザーは、インターネット・サービス・プロバイダーが、暗号化通信チャネルのような不正規のインターネット通信をサイバー・セキュリティー警察に通報したと疑っている。

This article was originally published on Global Voices. Read the original article.
Translated by Conyac

Text by Global Voices

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