本気? 冗談? 海外メディアが教える「日本の就職面接作法」に思うこと(コラム)

 労働力、とくに若年層の減少を考慮して、日本でも企業が徐々に外国人に門戸を開き始めている。それを受けて、日本での就職を希望する外国人のために、ブルームバーグが「日本の就職面接で成功(失敗)する方法」という動画と記事を公開した。

 お辞儀をしまくるステレオタイプの日本人ビジネスマンが映画などで茶化されることも多いので、服装、ノックの回数からお辞儀の角度までを事細かに解説するこの動画も半ば冗談かと思いきや、しごく真面目なサバイバルガイドのようだ。

◆まるでロボットのよう? 不思議なルールの数々
 服は黒い「リクルート・スーツ」、コートは失礼にあたるので脱ぐこと。ノックは必ず3回(2回はトイレで空室を確認するとき)。入室時には30度の角度でお辞儀をし、椅子には左側から腰掛ける。退室時には45度の角度でお辞儀をし、退社時にスマホを見たりしないこと。それどころか、駅と会社の道中でさえ社員に見られているかもしれない……。

 面接時の時間厳守や丁寧な言葉遣いなどは日本に限らず一般常識だろうが、ノックの回数やおじぎの角度、椅子に座る方向など、20年以上前に就職活動をした筆者は考えたこともなかった。ブルームバーグは日本のリクナビを参考にしているようなので、これが現在のスタンダードなのだろう。記事では、ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社のロッシェル・カップ氏が、面接ではうまくいったのに、椅子を元の位置に戻すのを忘れたために落とされた候補者のケースを挙げている。

◆日本人から見ても不思議なことも
 ネットでの反応には、日本の規律やマンネリズムに感心する声と、極端さにあきれる声との両方がある。日本国内の日本人や外国人も、ここまでひどくはない、あるいはもっとひどいと、その意見はまちまちだ。

 このような厳しい要求を外国人にも課すのは、実際に入社した後に社風に馴染めるかどうかを推し量る一種のテストであるということは理解できる。しかしながら、外国人を採用しようというようなオープンな会社、あるいはグローバルな活動を望む会社で、本当に画一的な人材が望まれているのだろうか。自分が採用する側であれば、同じ外見で同じ動作をするロボットのような候補者には興味を持てないような気がする。業界にもよるだろうが、外見の作法の遵守より、能力のアピールのほうが重要なのではないだろうか。

 異国の地で母語ではない言葉で面接を受けるのはただでさえ緊張するのに、このような形式的なことを守るのに心を奪われて能力をアピールできなくなるとしたら、もったいない話だ。

◆北米では面接でどんなことを求められる?
 筆者も外国で就職面接を受けたことがある。カナダのカレッジでジャーナリズムを修めたが、それは移民が仕事を見つけ社会参加することを奨励する、いわゆる「ブリッジプログラム」だった。面接の心得なども教わったが、つまるところ大切なのは「相手に、自分と一緒に仕事をしたいと思わせること」という一言に集約できる。そう考えると、取るべき態度も自ずと見えてくる。時間厳守や丁寧な言葉遣いはもちろん、笑顔、清潔感、心のこもった態度(いくら外見と振る舞いが完璧でも、心がこもっていなければすぐにわかってしまう)などで、服装は「自分に似合うもの」つまり「自分をより良く見せるもの」が重要だ。

「できない」と言わないように、とも学んだ。できないことでもとりあえずできると言って、後から学べばよいという考えだ。だが当時、筆者の家族はドイツ企業のカナダ支社に勤めていたが、採用マニュアルに「カナダ人は自分の能力を過大評価するので、多少差し引くこと」とあったそうだ。批判精神に富むドイツらしくて面白い。

 社風に馴染むことも大切だが、外国人を採用する利点は、異なる価値観やスキルを持ち込んでもらえることではないだろうか。外国人を採用することに前向きな企業は、面接で候補者が萎縮してしまわないように、逆に「こんな人材を求めています」という動画を用意するといいかもしれない。

Photo via KPG_Payless/shutterstock.com

Text by モーゲンスタン陽子

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