「世界一洗練されたトイレ」の国・日本、操作ボタン統一で外国人観光客をおもてなし

 日本レストルーム工業会は、温水洗浄などの機能を持つトイレの操作ボタン表記を統一すると発表した。大手トイレメーカーの外国人を対象にした調査では、このタイプのトイレの使い方が分からないという回答が多く、「トイレ大国」日本のプライドをかけ、2020年の東京五輪に向け、だれでも安心して使えるトイレの実現を目指すこととなった。

◆多機能トイレは生活必需品。外国人も絶賛
 冬の寒い日、電車の中で急にトイレに行きたくなり、下車後ダッシュで駅のトイレにかけこみ、ホッと便座に腰を下ろした瞬間、あまりの冷たさに心臓が止まりそうになったことはないだろうか。暖房便座に慣れた人々にとって、もはや素のままの便座はその機能を果たしていないと感じられる。また、温水洗浄便座が普及してから、紙で拭くだけでは気持ちが悪いし不衛生だという人が増えた。海外旅行で困るのが、用を足した後、お尻が洗えないことだという人も多い。

 今の日本では、家庭だけではなく、学校や職場、公共施設にまで保温や温水洗浄機能が付いたトイレが広く普及しており、海外から訪れた人々はそのハイテクぶりに驚くらしい。パーソナル・テクノロジーの情報サイト『Slash Gear』のクリス・デイビーズ氏は、初来日で一番楽しみだったのは、すしでも新幹線でもなく、「魔法のロボットトイレ」だったと述べ、温水が出る日本のトイレはキリスト教の「聖杯」だと絶賛する。ビジネスデザインの情報サイト『Co Design』は、日本のトイレ・テクノロジーは冗談抜きにすごく、「スーパートイレ」とも呼ばれると述べ、その多機能ぶりで1997年以来、世界一洗練されたトイレとしてギネスブックに認定されていると説明している。

◆トラブル続出。不慣れな外国人にはミステリー
 その一方で、初めて多機能トイレに遭遇する外国人にとって、たくさんのボタンを操作するのはハードルが高いとガーディアン紙は指摘。使用後水を流すつもりが、おしり洗浄ボタンを押してしまい、いきなり不本意にも「下部」を洗われてしまうことがあると述べる。Slash Gearのデイビーズ氏は、外国人にとっては意味の分からないボタンはミステリアスで、押してみたい衝動を抑えきれず、当初の予測とは違う非常に興味深い結果をもたらすこともあると説明している。

 2014年にTOTOが行なった在日外国人600人を対象にしたトイレに関する調査でも、訪日当初、日本の公共トイレで困ったこととして、「さまざまな操作ボタンの役割が分からなかった(25.6%)」、「温水洗浄便座の操作方法が分からなかった(18.5%)」、「日本語表記しかなかった(15.7%)」などの回答があり、操作性に関する問題が上位をしめた。どこを押せばいいのか分からず「緊急ボタンを押してしまった(8.8%)」という回答まであり、確かに外国人には不親切だ。

◆共通絵記号で世界標準を目指す。トイレで真のおもてなしを
 原因の一つとして、トイレの操作パネルのピクトグラム(絵記号)が各社独自のものであったことが指摘され、TOTO、パナソニックなどの国内主要メーカー9社が、共通のピクトグラムを策定したという。今年4月以降に販売されるトイレから採用され、「便ふた開閉」「便座開閉」「便器洗浄(大)」「便器洗浄(小)」「おしり洗浄」「ビデ洗浄」「乾燥」「止」の8つの基本操作に関する表示が共通化される。将来的には世界標準になることを目指すとのことだ。

 日本政府は、増え続ける外国人観光客に対応するため、外国人には分かりにくく誤解を招くような地図記号の改訂に取り組んでおり、今回の操作表示の統一もユーザーフレンドリーを目指す取り組みだ、とガーディアン紙は述べる。東京五輪まであと3年。トイレ先進国日本に求められるのは、機能だけでなく分かりやすいトイレでおもてなしをすることのようだ。

Text by 山川真智子