好調USJ、沖縄に新パーク 地域振興に政府も期待大 米紙は計画の幻化を懸念

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)運営会社のグレン・ガンペルCEOは、沖縄に新しいテーマパークを建設する計画を発表した。沖縄振興につながるこのプランへの日本政府の期待は大きく、海外メディアも注目している。

◆新アトラクションで人気復活
 2001年に大阪市と民間会社の合弁で開業したUSJは、ハリウッド映画を題材にしたアトラクションで人気を集めたが、徐々に施設の魅力が薄れ、来場者は減少。ゴールドマン・サックス・グループによるTOB(株式公開買い付け)の後、2009年に上場廃止となり、民間企業として再スタートした。「スペース・ファンタジー・ザ・ライド」等の新アトラクション投入が功を奏し、業績は回復。昨年度は開園以来2番目に多い、来場者1050万人を達成している(ブルームバーグ)。

 昨年7月15日には、450億円を費やした新アトラクション「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」がオープン。87万人という、7月としては記録的な来場者獲得に貢献した(ブルームバーグ)。AFPによれば、「ハリー・ポッター以来、客足は大変好調。今年だけで1200万人の来場を見込んでいる」と広報担当者は話している。

◆建設地については憶測が飛び交う
 そんな業績好調のUSJが、沖縄で第2のテーマパーク建設を発表した。共同通信が伝えた関係筋の話では、建設費を調達するため、東証への再上場を考えているというから、かなり本気のようだ。

 ガンペルCEOは、新テーマパークは大阪のUSJほど大きくはないが、大規模なものになると説明。また、映画やテレビ番組に基づくのではなく、沖縄の雰囲気に合う施設にする予定だとも述べている。新パーク建設の発表を受け、菅官房長官は「沖縄振興策で極めて重要だ」と計画を大いに歓迎したという(共同通信)。

 新パークの場所に関してUSJ側は明らかにしなかったが、大手メディアの多くは、普天間基地の移設先である辺野古のある、名護市だろうと報じている。ブルームバーグは、カジノリゾートか新テーマパークの建設地として、名護市が所有する自然公園「ネオパークオキナワ」を検討している、とガンペル氏が述べたことを、昨年8月の記事ですでに伝えている。

 一方、米エンターテイメント・サイト「ハリウッド・レポーター」は、昨年初めから新テーマパークの噂が駆け廻っていたと報道。7月に沖縄の地元紙に、USJと特定はしなかったものの、普天間基地の跡地に250億円を投じたテーマパークが開園すると書かれていたと伝えた。行政においては悩みの種であった普天間に、新たに大規模テーマパークが建てられれば、地元経済の押し上げになり歓迎されるだろうと同サイトは述べるが、250億円と言えばハリー・ポッターのアトラクションにつぎ込まれた額の半分ほどであるとも指摘しており、真偽のほどは不明のようだ。

◆幻で終わるかも…
 ロサンゼルス・タイムズ紙は、ユニバーサル・スタジオは実現することのないテーマパーク建設を世界各地で発表するという長い歴史を持っている、と皮肉を込めて述べる。2007年の韓国とドバイ、2008年のフィリピン、2010年のインドでの計画は、いずれも立ち消え。2012年に発表され、2018年開業予定のロシアの屋内テーマパークにも、進展はほとんどないと伝えている。

 AFPによれば、今回の計画も「大変初期の段階」であるとし、USJ側は詳細を明らかにしてはいない。基地移設を巡って関係がギクシャクしている国と沖縄には、新パーク誘致は久々の朗報だけに、今回だけは立ち消えの歴史に含まれないことを期待したい。

Text by NewSphere 編集部