ロシアのお正月の定番「オリヴィエ・サラダ」 高カロリーはソ連時代の名残

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 ロシアではクリスマスより新年を盛大に祝う習慣があり、お正月料理に欠かせないのが「オリヴィエ・サラダ」と呼ばれるマヨネーズ味のサラダだ。もともと高級料理だったが、共産主義の物資不足の時代に大幅なアレンジが加えられた。ヘルシーなサラダのイメージからかけ離れた料理だが、いまも庶民に愛される「旧ソの味」となっている。

◆もともと高級料理、ロシアの正月の定番に
 ロシアの情報サイト『ロシア・ビヨンド』は、オリヴィエ・サラダはロシアの新年のごちそうの象徴であり食卓の王様だと述べる。ロシア人は一年中このサラダを夢見ており、正月シーズンの数日を通して食べ続けることができるよう、家庭では最低でも5キロは作るということだ。

 オリヴィエ・サラダはソ連時代からの庶民の味だが、皮肉なことにもともとはエリートのために作られた特別料理だった。1860年代初期にモスクワのレストラン「エルミタージュ」のシェフ、リュシアン・オリヴィエ氏が考案したとされる。パリのレストランを真似たエルミタージュには、ツルゲーネフやチャイコフスキーなどの上流階級とインテリ層が集まっていた。(エコノミスト誌

 オリヴィエ氏のサラダは、ライチョウの肉、キュウリのピクルス、ザリガニ、ケイパー、エンドウ豆、ジャガイモ、キャビアを卵ベースの特製ソースで和えたもので、革命前のフランス料理からヒントを得ていた。芸術的な盛り付けにしたが、常連客はすべてを皿の上で混ぜ合わせて食べていたため、具材を細かく刻んで出すスタイルに変えたという。オリヴィエ氏はレシピを秘密にしたまま1883年に亡くなったため、その後は後世の料理人が推測したレシピが発表されていた。(同)

Text by 山川 真智子