両極化進むドイツ 緑の党が州議会選で大躍進を遂げた理由とは?

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 ドイツのバイエルン州の議会選挙で、メルケル首相が率いるキリスト教民主同盟(CDU)の姉妹政党、キリスト教社会同盟(CSU)が歴史的敗北を喫した。代わって躍進したのは緑の党だ。極右政党「ドイツのための選択(AfD)」の台頭ばかり話題となっているが、メルケル政権が有権者の支持を失うなか、緑の党は静かな革命を起こしている。

◆現実路線転向 大政党を押さえ大躍進
 バイエルン州の選挙は、メルケル政権の今後を占うものとして注目された。CNNは、一部の有権者の間ではシフトが進行中で未来はとてもグリーンに見える、と緑の党の躍進を報じている。

 緑の党は気候変動対策、男女平等、国境管理の削減などを訴え、前回の2倍以上の17.5%の得票率で2位に躍り出た。過去70年間手堅く同州を押さえてきたCSUは10%ダウンの37%となり、過去最悪の結果となった。

 テレグラフ紙は、これまで緑の党には政権に入り結果を出すという現実主義者と、野党としての純潔を守るというイデオロギー信奉者の対立があり、これが党をむしばんでいたとする。しかし近年は、イデオロギー信奉者のイメージを払しょくすることに努め、真剣に政府に関与するというメッセージを選挙があるたびに送り続けてきた。1998年から2005年には、連立政権のパートナーとして閣僚も輩出した。現在ではドイツ経済にとって最重要州の1つとされるバーデン・ビュルテンベルク州で、連立与党の一員となっている。

Text by 山川 真智子