両極化進むドイツ 緑の党が州議会選で大躍進を遂げた理由とは?

Bernd von Jutrczenka / AP Photo

◆移民が争点ではなかった 有権者の信頼を獲得
 CNNは、緑の党が躍進した理由を3つ上げる。1つ目は、AfDに票が流れることを止めるため、反移民的な政策に傾き始めたCSUへの抗議票が、緑の党に流れたことだ。大量の難民を受け入れたことで、反移民感情が高まっていると言われるドイツだが、選挙の前にはミュンヘンで2万人以上、ベルリンでは10万人以上が、反移民政策や人種差別、極右に対する抗議デモを行っており、緑の党がリベラルな有権者の受け皿になったと見ている。

 2つ目は、移民が有権者にとっての最大の問題ではなかったことだ。選挙・政治調査を行うInfratest Dimapの世論調査によれば、移民問題を上回る有権者の最大の関心は教育、住宅、気候変動だったという。緑の党は、選挙運動でこれらの話題を常に取り上げてきた。

 3つ目は、有権者の保守層が、伝統的な中道政党を捨て、愛国的非主流政党に走ったことと同様に、左派がCDU・CSUと並ぶ大政党で中道左派の社会民主党(SPD)から緑の党に流れたことだ。SPDの得票は、わずか9.7%だった。

 テレグラフ紙は、与党のリーダーたちが政権にしがみつこうとしているのとは対照的に、今年の国政選挙後の連立交渉が失敗に終わったあと、緑の党では平和的にリーダー交替が行なわれたとする。新たに選ばれた、ロベルト・ハベック氏とアンナレナ・ベーアボック氏という後継者を、前リーダーたちがバックアップする様子は、有権者の目には大人の政党として映ったと指摘している。また、移民問題を巡ってぶれるCDU・CSUとは対照的に、リーダーの立ち位置が明確で、党が支持することを誰もが理解している。これが緑の党に有利に働いていると、ベルリン自由大学のゲロ・ノイゲバウアー氏は指摘している(同上)。

                                                                                                                 

◆分解するドイツ政治 古い政治を打破できるか?
 これまで国政をコントロールしてきた中道の票が右と左に流れ、ドイツ政治は分解しつつあるとブルームバーグは指摘し、今後メルケル首相は国を治めるどころか連立を維持するのにも苦労するだろうと述べる。今回の州選挙がそれを表す形になったが、テレグラフ紙は緑の党にとって地方での成功が国政レベルでの成功につながるかどうかは分からないとしている。

 緑の党の共同リーダー、ハベック氏は、変化が訪れていることには楽観的としながらも、権力を持つ人々はなかなかそれを手放そうとしないため、緑の革命が今すぐ起きるという期待をしないようにと警告する。地面はようやく割れたところで、すぐに一歩踏み出せば裂け目に落ちてしまうと慎重だ。

 世論調査会社によれば、CSUの支持者の多くは60才以上だが、緑の党に投票した有権者のほとんどは60才以下で、18~29才の20%以上が緑の党に投票した(CNN)。古いドイツの政治に活力を与える同党には、今後AfD以上の注目が集まりそうだ。

Text by 山川 真智子

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