外資企業への圧力強める中国共産党 経営に介入する試みも
中国当局は外資系企業に対しますます強い圧力をかけるようになっている。過去30年ほどの間では見られなかった光景だ。
最近では、国際ホテルチェーンのマリオットをはじめとする企業がウェブサイトや顧客向け情報の中で独自の統治体制を敷く台湾を「国」として扱ったことに中国政府が非難するという火種がくすぶった。ところが企業は最近、指導者である習近平氏の国家主義的な姿勢に加え、共産党による政治統制の強化と企業内での直接的な役割確保を目指す2大運動という多方面からの圧力に直面している。
企業関係者たちは、中国国民がネットで目にする内容の検閲強化が始まった昨年以来、当局による最近の運動によって業務に支障が出ていると不満を漏らしている。電気自動車(EV)などの分野において競合する可能性のある中国企業の技術開発を助けるなどの取り組みを行うよう、圧力を受けている。
中国政府は昨年、指導層がかねてより反対していたにもかかわらず韓国の流通大手ロッテがミサイル迎撃システム設置のために自社保有の土地を韓国政府に売却したのを受け、中国にある同社の事業を閉鎖した。
企業にとって最も心穏やかでないのは、中国政府が中国系企業との合併を推し進めることによって、人材採用、投資その他の意思決定に際し影響を及ぼそうとしていることである。
「習近平氏は政治をより高い水準に引き上げた」と、北京にある法律事務所シェパード・モレンのマネージングパートナーで在中米国商工会議所前会長のジェームズ・ジマーマン氏はeメールで伝えてくれた。
外資系企業が懸念しているのは、「当局の気まぐれ」で会社の意思決定能力が削がれることだとジマーマン氏は言う。「当局が権力を持ち、権力を維持しようとすると、イノベーションや起業家精神を犠牲にして特定の企業を優遇する傾向がある」。
中国の政治はつねに、国家が統制する経済に影を投げかけてきた。しかし習氏が2012年に政権を掌握してから、国内での新規雇用や国富を生み出す起業家的な活動を促進しようとする企業統制の緩和傾向を共産党は反転させた。
指導者層は自由な市場の促進を公約しつつも、銀行、石油、電気通信その他の業界を支配する国営企業を設立すると謳っており、混乱を来すメッセージとなっていた。