外資企業への圧力強める中国共産党 経営に介入する試みも

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 当局は、韓国のロッテが展開するスーパーマーケット99店舗その他の施設の大半を閉鎖した。米軍が中国領をとらえることができるとしてかねてより懸念を表明していたところ、米国のミサイル迎撃システムTHAAD(サード)を設置する用地をロッテが売却したことを受けた措置だ。

 中韓両国は後に関係を修復したが、ロッテは多額の損失を蒙った。同社は中国での事業を断念し、店舗を売却する準備を進めていると韓国のメディアは報じた。

 すでに規制当局をも統制下に置いている共産党は昨年から、企業が雇用、投資、戦略に関する意思決定を行う際、党に正式な発言力を与えるようキャンペーンを行なっているが、企業はその動きの影響が広がっていることを感じている。

 共産党は外資系企業の経営者に対し、会社の統治構造と目的を定めている定款の中で党員に取締役もしくは諮問的な役割を与える旨の修正を施すよう圧力をかけている。共産党は企業を犠牲にすることで自らの目標に資する方向に向けた舵取りをしているのだと、企業関係者は密かに不満を漏らしている。

 新興経済での存在感を高めるために共産党が動きをみせたのは、今回が初めてのケースではない。

 2006年には当時の共産党指導者であった胡錦涛氏が、ウォルマートなどの外資系企業に対し労働組合を設置するよう要請した。設置自体は行われたものの、多くの新設組合の取り組みが不十分だったため、労働者には使用者側と手を組まされたという不満があった。

 それとは対照的に今回の運動は、合弁企業の構造と運営を根本的に変化させてしまう可能性がある。

 在中EU商工会議所は昨11月、共産党が求める通りの事態になれば、企業は新たな合弁企業設立に向けた投資に二の足を踏むほか、既存事業への取り組みを再考する可能性があると警告を発した。

 欧州の企業関係者によると、ソ連時代の東欧で共産党によって支配された職場の記憶がまだ残っていることもあり、一部の企業は本国で公の抗議に直面する可能性があると述べた。

 こうした懸念が、欧米諸国から対中貿易に関する不満を受けているところに追加されることになる。

「トランプ政権の好戦的な口調や取り組みによって、現在の状況がさらに悪化する方向に向かうだろう。それにより中国の指導者層はますます内向きになり、貿易関係での歩み寄りがさらに難しくなるだろう」とジマーマン氏は述べている。

By JOE McDONALD, Beijing (AP)
Translated by Conyac

Text by AP