日本支援のライトレール、スリランカが計画中止 背後に中国の影 現地メディアは影響懸念

マレーシアのLRT|Lens Hitam / Shutterstock.com

◆高コスト理由にキャンセル
 こうして前スリランカ首相によってゴーサインが出された計画だが、ラージャパクサ現首相は費用対効果に優れないことを理由に計画のキャンセルを表明した。プロジェクト費用は総計15億ドル(約1570億円)と見積もられており、一部は日本との間で昨年締結された300億円の円借款で賄われる予定であった。現地のタミル・ガーディアン紙(10月6日)は現首相の発言として、「我々は同じ結果を5億ドル(約520億円)で実現するより効率的なプロジェクトを検討している」とのコメントを報じている。現計画の3分の1の費用で同じ成果を目指していることになるが、具体的な計画は不明だ。

 首相の方針転換に、現地でも疑問の声が相次いでいる。現内閣はLRT計画がスリランカ史上最も高額なプロジェクトになっていると説明するが、デイリーFT紙は「キャンセルに先立ってLRTプロジェクトの評価が実施されたかどうかは疑わしい」と述べ、判断のプロセスに疑問を投げかけている。首都近郊における自動車による移動回数は2035年までに75%も増加するとの予測もあり、LRTによる渋滞の緩和は不可欠だ。デイリーFT紙はLRTの利用者数を独自に試算し、自家用車からの乗り換えが促進されれば自動車の買い替えサイクルを延ばすことができるため、LRTの建設は費用的に十分な見返りがあるはずだったと指摘する。

 メナフン誌も1時間あたり片方向につき3万人を輸送する計画だと指摘しており、公共交通機関としての実用性と渋滞の抑制効果は十分に見込めそうだ。

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Text by 青葉やまと

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