バイデン、トランプそれぞれが抱える不安 米国民に託される世界の行方

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 また、これまでのバイデン政権の実績をそもそも支持しない声も多い。現在、バイデン大統領の支持率は4割程度で、国民の間では、バイデン政権のこれまでの3年間で物価は高騰し、トランプ時代より家計が逼迫(ひっぱく)して物が買えないなど、経済的、社会的不満が高まっている。また、前回の大統領選では、若い世代の間でバイデン氏の方が人気があったが、最近はトランプ人気が上昇し、トランプ氏の支持率がバイデン氏を上回る世論調査も出てきている。

◆世界の行方はアメリカ国民に託された
 バイデン大統領は、トランプ氏がホワイトハウスに戻ればこれまでのすべての進歩が危険に晒され、民主主義が大きく後退する可能性を示唆している。

 アメリカ大統領選はアメリカ国民だけの選挙とは言えない。現在、ウクライナや中東では戦闘が続き、台湾海峡では緊張が続いているが、大統領選でどちらが勝利するかでこういった問題の行方も大きく左右される。トランプ氏が勝利すれば、ウクライナは軍事支援を受けられなくなり、さらに難しい状況に追いやられるだろう。台湾をめぐっても、トランプ政権は台湾への防衛支援に消極的な姿勢に転じるだろう。日本に対しても貿易的な圧力を仕掛けてくる可能性が考えられる。世界の行方はアメリカ国民に託されたといっても決して過言ではないだろう。

Text by 本田英寿