バイデン、トランプそれぞれが抱える不安 米国民に託される世界の行方

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 3月5日、共和党の候補者指名争いで最大の山場となるスーパーチューズデーを迎えた。全米15州で一斉に予備選・党員集会が行われ、これまで圧勝してきたトランプ氏がバージニア州やテキサス州、マサチューセッツ州、カリフォルニア州など14州で勝利し(バーモント州のみ敗北)、選挙戦を繰り広げてきたヘイリー元国連大使は選挙戦からの撤退を表明した。

◆トランプ氏が抱える課題
 しかし、この勢いのままトランプ氏が秋の本選を迎え、勝利するかはまだ不明な状況だ。現在、11月の大統領選に向けた支持率では、トランプ氏48%、バイデン大統領43%など、トランプ氏が若干リードする世論調査結果が多いが、トランプ氏は民事や刑事など複数の裁判を抱えている。仮にいくつかの裁判で有罪などの判決が下されれば、無党派層を中心にトランプ離れが広がる可能性がある。

 民主党、共和党のどちらも支持しない、いわゆる無党派層の間でトランプ氏は不人気で、今後どれほど無党派層からの支持を集められるかがトランプ氏の最大の課題と言えよう。現在、無党派層ではバイデンという人々が多い。

◆バイデン大統領も不人気
 一方、バイデン大統領にも多くの不安がある。なかでも一番の不安は高齢問題で、現在81歳のバイデン大統領が再選すれば、その任期が終わるのは80代半ばとなる。その歳まで職務を全うできるのか、多くのアメリカ国民が疑問視している。トランプ氏はそこがバイデン氏の弱点ということを理解しており、今後いっそう高齢問題を強調してくるだろう。

Text by 本田英寿