「超えてはならないレッドライン」となるガザへの地上侵攻

イスラエル軍による空爆後、煙が立ち上がるガザ地区(10月23日)|Ariel Schalit / AP Photo

◆反イスラエル、反米感情を強める勢力
 一方、これまでにイランは、「イスラエルが地上侵攻すれば我々は傍観者でいれなくなる」とイスラエルやアメリカを強くけん制している。具体的にどのように関与するのかはわからないが、イランとイスラエルの間で軍事的緊張が高まることは間違いない。

 また、親イランの武装勢力はすでにイスラエルへの攻撃を仕掛けている。レバノンのヒズボラは長年イスラエル領内への攻撃を続けているが、地上侵攻で一気に攻撃を激化させる恐れがある。また、イエメンのフーシ派はイスラエルに向けてロケット弾を発射したが、アメリカ軍が紅海上でそれを撃墜した。イラクでは親イランの武装勢力が現地にあるアメリカ軍基地などへの攻撃を強化しているとされ、アメリカ国務省は23日までに、イラクに在留する大使館職員や家族に対し、イラクから退避するよう呼びかけた。

 こういった状況を総合的にみると、地上侵攻というのはイランや親イランの武装勢力、アルカイダやイスラム国などにとって、超えてはならないレッドラインのようになってきている。これが実行に移されるかどうかで、その後の中東情勢は大きく変わるだろう。

Text by 本田英寿