多くの国が加盟に関心、なぜBRICSが注目を集めているのか

BRICSの首脳ら(南アフリカ・ヨハネスブルグ、8月23日)|Gianluigi Guercia / Pool via AP

 ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5ヶ国(BRICS)が、欧米のオルタナティブとしての存在感を発揮しており、24日、来年1月から新たに、アルゼンチン、エジプト、イラン、サウジアラビア、エチオピア、アラブ首長国連邦(UAE)の6ヶ国が加盟することが決まった。約20年前に提示されたBRICSの枠組みが、なぜ今再び注目されているのか。

◆ヨハネスブルグで開催されたBRICS首脳会議
 8月22日から24日まで開催の第15回BRICS首脳会議に、今まで以上に注目が集まった。今回の首脳会議は南アフリカ開催で、同国は2011 年にBRICSに加盟して以来、3度目の議長国を務めた。

 BRICSは、新興市場および発展途上国のパートナーシップで、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカが参加する。この5ヶ国だけで世界人口の42%、領土の30%、国内総生産(GDP)の23%、国際貿易額の18%を占める。BRICSという国の紐付けは、もともとは2001年にゴールドマンサックスのエコノミスト、ジム・オニール(Jim O’Neill)が報告書で使ったことが始まりで、当時は南アフリカを除く4ヶ国に関して、その経済成長の可能性を投資家に示すという文脈で使われた。その後、2009年にアメリカおよび同盟国の覇権に対立する勢力として、ロシアの呼びかけによって非公式な団体が形成され、同年ロシアで初回の首脳会議が開催された。

 オニール自身もコメントしているように、これまで経済圏としてのBRICSが何か成果を残したとは言えない状況で、過去、BRICS会議もそこまで注目されてこなかった。しかしながら、今回に関しては、ロシアがウクライナに侵攻し、その戦争が続いているなか、ロシアと欧米社会との分断が強まっていること、中国とアメリカの貿易摩擦があるといった世界情勢のなか、BRICSというオルタナティブな連携と枠組みの動向が、無視できないというのが現状だ。

Text by MAKI NAKATA