ペロシ訪台時より強い意思を示した中国 台湾の狙い打ち消す

空母「山東」から離陸するJ-15戦闘機(4月9日)|An Ni / Xinhua via AP

 前回の記事で「台湾情勢でペロシ劇場第2幕がやってきそうな様相だ」と述べたが、まさにその通りになった。米カリフォルニア州での蔡・マッカーシー会談を前に、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は「蔡総統がアメリカに立ち寄ることは公式の訪問ではない。中国はこれを口実に台湾海峡周辺で攻撃的な活動をエスカレートさせてはならない」と中国に自制を呼びかけていた。これについて中国当局は「台湾海峡の安全を脅かす挑発行為であって対抗措置を取る」と強くけん制していた。

◆ペロシ劇場第1幕における中国
 昨年8月初め、当時のペロシ米下院議長が台湾を訪問したことにより、中国は台湾本土の南部、東部、北部海域などを包囲するかのような大規模な海上軍事演習を行い、大陸側からは複数のミサイルを発射するなど、これまでにない規模の軍事演習で台湾に圧力をかけた。中国軍機による中台中間線越え、台湾の防空識別圏への進入も相次ぎ、大陸に近い台湾離島へは次々に正体不明のドローン(無人機)が飛来した。

◆ペロシ劇場第2幕における中国
 今回の蔡・マッカーシー会談は、同じ米下院議長と蔡英文氏の会談ということで、それを比較する動きが見られる。中国当局は4月8日から3日間の日程で軍事演習を行うと発表したが、台湾国防部によると、9日は中国軍機のべ70機が台湾周辺を飛行し、うち35機が中台中間線を越えたと発表したが、これまでのところ、蔡・マッカーシー会談への対抗措置の規模は昨年8月と同規模との認識を示している。

 また、昨年8月のようなミサイル発射は報告されていない一方、中国海軍の空母「山東」やフリゲート艦など合わせて3隻が6日、台湾南部のバシー海峡を航行し、西太平洋に向かう姿が確認された。山東は2019年に就役した中国初の国産空母で、太平洋での航行が確認されたのは初めてとなった。

Text by 本田英寿